本はごはん。
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連作です。
どこにでもありそうな団地の一角にある喫茶店を訪れる客たち、
それは浮気を繰り返す夫との別れを決めた妻とか、
出会い系で知り合った太った女性に何故か固執してしまう男とか、
そしてこの喫茶店の女主人も、婚約者が失踪してしまった過去を
持っていて、そんな彼らの恋愛事情と言うより、男女関係を
描いています。
日常の描き方が上手いのは、人物描写と感情表現が大げさすぎずでも
的確なためだろうと思う。それと、連作具合、というのか、
あからさまではなく遠すぎもせず、じわじわと関連していく具合が
絶妙だと思います。
喫茶店の女主人の失踪してしまった婚約者、その両親、そして今の妻、みんな善良顔しながら
結局のところずるかったり、つい逃げてしまう浮気夫の小心さ、などがほんとよく描かれて
いると思います。
こういうの書かせるとほんと、井上荒野は上手いと思う。
「 不恰好な朝の馬 」 井上 荒野 ★★★
どこにでもありそうな団地の一角にある喫茶店を訪れる客たち、
それは浮気を繰り返す夫との別れを決めた妻とか、
出会い系で知り合った太った女性に何故か固執してしまう男とか、
そしてこの喫茶店の女主人も、婚約者が失踪してしまった過去を
持っていて、そんな彼らの恋愛事情と言うより、男女関係を
描いています。
日常の描き方が上手いのは、人物描写と感情表現が大げさすぎずでも
的確なためだろうと思う。それと、連作具合、というのか、
あからさまではなく遠すぎもせず、じわじわと関連していく具合が
絶妙だと思います。
喫茶店の女主人の失踪してしまった婚約者、その両親、そして今の妻、みんな善良顔しながら
結局のところずるかったり、つい逃げてしまう浮気夫の小心さ、などがほんとよく描かれて
いると思います。
こういうの書かせるとほんと、井上荒野は上手いと思う。
「 不恰好な朝の馬 」 井上 荒野 ★★★
仕事を早期退職したら、いきなり妻からの離婚宣言。
父、兄と些細な事で仲違い。そのまま父は逝去。そしてその兄も
病に冒されてしまいます。
そんな主人公の元に、兄から父の形見としてバイオリンが送られてきて、
そのバイオリンのルーツをたどり、イギリスへ。
そこで出会った女性との交流、遙か昔の淡い想い、そして家族というもの
への想いを新たにしていく物語。
この著者の一大テーマである「家族」というもの。そしてタイトルである
「茨の木」、ごつくて淋しげででもはななく美しい花を咲かせるという
この木は、「人生」を象徴しているのかな、と思います。
この著者の作品に出てくる多くの人は、深い哀しみを背負いながらそれでも、いやそれだからか、
とても優しい人が多い。単に優しい人を描くのではなく、その裏にある深い悲しみをきちんと
描いているから、すっと心に入ってくるのかなと思う。
今までの作品の中でいちばん、散文的というか、ストーリィの堅さ? 硬直性?のない、肩の力が
良い具合に抜けた感じのする作品。
「茨の木」 さだ まさし ★★★
父、兄と些細な事で仲違い。そのまま父は逝去。そしてその兄も
病に冒されてしまいます。
そんな主人公の元に、兄から父の形見としてバイオリンが送られてきて、
そのバイオリンのルーツをたどり、イギリスへ。
そこで出会った女性との交流、遙か昔の淡い想い、そして家族というもの
への想いを新たにしていく物語。
この著者の一大テーマである「家族」というもの。そしてタイトルである
「茨の木」、ごつくて淋しげででもはななく美しい花を咲かせるという
この木は、「人生」を象徴しているのかな、と思います。
この著者の作品に出てくる多くの人は、深い哀しみを背負いながらそれでも、いやそれだからか、
とても優しい人が多い。単に優しい人を描くのではなく、その裏にある深い悲しみをきちんと
描いているから、すっと心に入ってくるのかなと思う。
今までの作品の中でいちばん、散文的というか、ストーリィの堅さ? 硬直性?のない、肩の力が
良い具合に抜けた感じのする作品。
「茨の木」 さだ まさし ★★★
銀行員もの(信金含む)です。
遙か昔、この業界の片隅にも身を置いた事があるので懐かしい感じがします。
最も、当時と今では相当変わっているのでしょうけれども。
どの短編も基本的には「中小企業」とその「取引先の銀行」、そしてその
取引銀行の「担当者」と「上司(組織側)」の関係で様々な事が描かれます。
もちろん銀行員のすべてが悪人なんてことはないと思うのです。個人個人では
ふつうの善良な人たちなんでしょう。担当している中小企業を一生懸命支援
して何とか大きく成長させたいと奮闘している人たちも、少なからずいる
事でしょう。
しかしそれを組織の論理が許さない、ということが往々にしてある。
今はその組織の論理を代弁もしくは振りかざしている一部の役職者たちも、
入行した頃はそんな熱い情熱を持っていたのかもしれない。
もちろん組織としてある以上、組織の論理は無視できないものであるけれど、金融業界で
ステップアップしていくということは、組織の論理の代弁者になると言う事なのだろうか。
奮闘むなしく倒れてしまう中小企業もあれば、中小企業の社長が銀行の支店長に
一泡吹かせる(どころではない仕打ちを与える)ものもあり、バラエティに富んだ
短編集だと思います。
タイトルにもなっている短編は、例の鞄屋さんがモチーフですね。
「 かばん屋の相続 」 池井戸 潤 ★★★
遙か昔、この業界の片隅にも身を置いた事があるので懐かしい感じがします。
最も、当時と今では相当変わっているのでしょうけれども。
どの短編も基本的には「中小企業」とその「取引先の銀行」、そしてその
取引銀行の「担当者」と「上司(組織側)」の関係で様々な事が描かれます。
もちろん銀行員のすべてが悪人なんてことはないと思うのです。個人個人では
ふつうの善良な人たちなんでしょう。担当している中小企業を一生懸命支援
して何とか大きく成長させたいと奮闘している人たちも、少なからずいる
事でしょう。
しかしそれを組織の論理が許さない、ということが往々にしてある。
今はその組織の論理を代弁もしくは振りかざしている一部の役職者たちも、
入行した頃はそんな熱い情熱を持っていたのかもしれない。
もちろん組織としてある以上、組織の論理は無視できないものであるけれど、金融業界で
ステップアップしていくということは、組織の論理の代弁者になると言う事なのだろうか。
奮闘むなしく倒れてしまう中小企業もあれば、中小企業の社長が銀行の支店長に
一泡吹かせる(どころではない仕打ちを与える)ものもあり、バラエティに富んだ
短編集だと思います。
タイトルにもなっている短編は、例の鞄屋さんがモチーフですね。
「 かばん屋の相続 」 池井戸 潤 ★★★
帯だか裏表紙だかに「魂の再生の物語」とか(たしか)書いてあって、
こういう大げさな表現が好きではない私はちょっとなぁと思いながら
読みました。が、良い作品ですね。
人生順風満帆だったのにうつ病に罹り、母親の残した実家に静養にやってきた
サラリーマンと、夏だけこの地にもどってくるワケありの女性と。
このふたりの触れ合いを中心に、「生きる」ということ、「生き方」という
もの、そして自分にとって本当に大切なものを見つけていく物語。
このうつ病に罹ったエリートサラリーマンが心の奥底に抱えていたもの、普通
なら気がつかないふりをして、それどころか本当に気づくことなく終わる人の
方が圧倒的に多いであろうことを掬い上げているところが見事だと思う。
女性の人物像が少し都合良すぎるように思わなくもないのだけれど。
あと、この小説の良いところは、イマドキの小説にしてはめずらしく、
「じれったいほどになかなか進展しないことろ」だと思う。
何でも結論を急ぐ風潮の現代。そう簡単に結論の出ない事はもちろん、そもそも結論自体がない
ことだってたくさんある。「結論のない状態」に耐えながら何かを見つけ出していいくのが
「大人」ってもんだと思う(今すぐ結論を欲しがる、結論のない状態に耐えられないのが子供だ)。
そういう意味では確かに「大人の恋愛小説」と言って良いのかもしれない。
ただやっぱり「魂の再生の物語」というコピーは個人的にはいかがなものかと思う。
そんなに軽々しく使って言い言葉じゃないし、恋愛ごときで魂は再生なんてしないと私は
思っているので。
「風待ちのひと」 伊吹 有喜 ★★★★
こういう大げさな表現が好きではない私はちょっとなぁと思いながら
読みました。が、良い作品ですね。
人生順風満帆だったのにうつ病に罹り、母親の残した実家に静養にやってきた
サラリーマンと、夏だけこの地にもどってくるワケありの女性と。
このふたりの触れ合いを中心に、「生きる」ということ、「生き方」という
もの、そして自分にとって本当に大切なものを見つけていく物語。
このうつ病に罹ったエリートサラリーマンが心の奥底に抱えていたもの、普通
なら気がつかないふりをして、それどころか本当に気づくことなく終わる人の
方が圧倒的に多いであろうことを掬い上げているところが見事だと思う。
女性の人物像が少し都合良すぎるように思わなくもないのだけれど。
あと、この小説の良いところは、イマドキの小説にしてはめずらしく、
「じれったいほどになかなか進展しないことろ」だと思う。
何でも結論を急ぐ風潮の現代。そう簡単に結論の出ない事はもちろん、そもそも結論自体がない
ことだってたくさんある。「結論のない状態」に耐えながら何かを見つけ出していいくのが
「大人」ってもんだと思う(今すぐ結論を欲しがる、結論のない状態に耐えられないのが子供だ)。
そういう意味では確かに「大人の恋愛小説」と言って良いのかもしれない。
ただやっぱり「魂の再生の物語」というコピーは個人的にはいかがなものかと思う。
そんなに軽々しく使って言い言葉じゃないし、恋愛ごときで魂は再生なんてしないと私は
思っているので。
「風待ちのひと」 伊吹 有喜 ★★★★
どうも世間の評判は良いようだけれども、3冊にも分けて書く必要が
本当にあったのか、という疑念を拭いきれずに読み始めた本書でありますが。
すいません間違ってました。面白いです。
裕福な音楽一家に育ち、チェロ演奏家を目指す主人公。音楽高校で、
さまざまな友人と出会います。友人達と、音楽と、輝いていた日々。
音楽に悩みながら、音楽にどっぷり漬かる日々。
「音を合わせる」なんとも単純な、そして簡単そうに聞こえる事の難しさ。
この「音」は、いろんな単語に置き換えられるのではないかと思うのです。
しかし時折挟み込まれる現在の視点からの「声」は、先々が決して明るい
ものではないことを暗示しています。
やがて彼は思いもしなかった状況に巻き込まれていき、思いもしなかった方向へ
進んでいく事になります。
音楽を知らずとも全く問題なく楽しめるように描かれているのが素晴らしい。また音楽だけでは
なく、「哲学」についても非常に判りやすく書かれおり、全面的に哲学をテーマにした作品も
是非著してもらいたいと思うくらいです。
根拠のない自信、傲慢さ、それらすらもすべてがキラキラと輝いていた時代。
そして自らが犯してしまった罪。
青春というのは人生から見ればほんの一時のもので、でもその時出会った人やものや、自分が
犯してしまった罪やらを背負って生きていかねばならない、輝かしくも愚かで、だからこそ
愛おしい時代なのかもしれません。
伊藤くんの恋心が切ないです。
「船に乗れ! I 合奏と協奏 」「船に乗れ! Ⅱ 独奏 」 「船に乗れ! Ⅲ 合奏協奏曲 」 藤谷 治 ★★★★★
本当にあったのか、という疑念を拭いきれずに読み始めた本書でありますが。
すいません間違ってました。面白いです。
裕福な音楽一家に育ち、チェロ演奏家を目指す主人公。音楽高校で、
さまざまな友人と出会います。友人達と、音楽と、輝いていた日々。
音楽に悩みながら、音楽にどっぷり漬かる日々。
「音を合わせる」なんとも単純な、そして簡単そうに聞こえる事の難しさ。
この「音」は、いろんな単語に置き換えられるのではないかと思うのです。
しかし時折挟み込まれる現在の視点からの「声」は、先々が決して明るい
ものではないことを暗示しています。
やがて彼は思いもしなかった状況に巻き込まれていき、思いもしなかった方向へ
進んでいく事になります。
音楽を知らずとも全く問題なく楽しめるように描かれているのが素晴らしい。また音楽だけでは
なく、「哲学」についても非常に判りやすく書かれおり、全面的に哲学をテーマにした作品も
是非著してもらいたいと思うくらいです。
根拠のない自信、傲慢さ、それらすらもすべてがキラキラと輝いていた時代。
そして自らが犯してしまった罪。
青春というのは人生から見ればほんの一時のもので、でもその時出会った人やものや、自分が
犯してしまった罪やらを背負って生きていかねばならない、輝かしくも愚かで、だからこそ
愛おしい時代なのかもしれません。
伊藤くんの恋心が切ないです。
「船に乗れ! I 合奏と協奏 」「船に乗れ! Ⅱ 独奏 」 「船に乗れ! Ⅲ 合奏協奏曲 」 藤谷 治 ★★★★★
以前読んだこの著者の作品が、悪くはないけどもう一声、
と感じたもの
ですからあまり期待はしていなかったのです。
実際冒頭は中学生が主人公ということもあり軽めのスタート。
しかし読み進めるととんでもない作品でありました(良い意味で)。
おばあちゃんとおかあさん、そして従姉妹とその娘、女だけの五人暮らしの
女子中学生の主人公。淡い恋やコミュニティ、日常生活が綴られていくの
ですが、そこに時折、かつ突然挟まれる独白。
差出人と宛先が最初から明らかに判るものと、 まさかこれはと思うものと。
やがて女子中学生の目を通した日常と、それらの手紙が見事に修練していく
のですが、 その構成が鮮やかです。素晴らしい。
女というのは年齢に関係なく女で、女である以上女の哀しみというものが
常について回るもので、そんな女の哀しみとかそれゆえの強さとか優しさとか そういった
ことがほんのりしたユーモアに包まれて、うまく描き出されていると思います。
二部構成らしいので、もうひとつの作品も期待してます。
「こうふく みどりの」 西 加奈子 ★★★★★
ですからあまり期待はしていなかったのです。
実際冒頭は中学生が主人公ということもあり軽めのスタート。
しかし読み進めるととんでもない作品でありました(良い意味で)。
おばあちゃんとおかあさん、そして従姉妹とその娘、女だけの五人暮らしの
女子中学生の主人公。淡い恋やコミュニティ、日常生活が綴られていくの
ですが、そこに時折、かつ突然挟まれる独白。
差出人と宛先が最初から明らかに判るものと、 まさかこれはと思うものと。
やがて女子中学生の目を通した日常と、それらの手紙が見事に修練していく
のですが、 その構成が鮮やかです。素晴らしい。
女というのは年齢に関係なく女で、女である以上女の哀しみというものが
常について回るもので、そんな女の哀しみとかそれゆえの強さとか優しさとか そういった
ことがほんのりしたユーモアに包まれて、うまく描き出されていると思います。
二部構成らしいので、もうひとつの作品も期待してます。
「こうふく みどりの」 西 加奈子 ★★★★★
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