bookshelf 『海』 小川洋子 忍者ブログ
本はごはん。
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121524.jpg  短編集です。

 この著者の作品はいつも、背景には音や色彩がちゃんとあるんだけれども、
 なんとも静謐な雰囲気が漂っているように思います。

 たとえばこの作品の中に「バタフライ和文タイプ事務所」という作品が
 ありますが、和文タイプ事務所ですから、和文タイプを打つ音、それは英
 文タイプのかしゃかしゃした音よりももっと重たい音ですが(学生時代に
 やったことがある)、

 そういう音に囲まれた場面を描きながらもどこか、海の底のような「しん」と
 した気配を感じる。

 現実の持つ理不尽さとか残酷さとか、そういうことを覆い隠してしまうのではなく、
 それらをきちんと見つめながらそれらとも共存できるファンタジーを紡いでいるかのようにも思う。

 2番目の短編、「風薫るウィーンの旅六日間」がなんとも、悲劇のような喜劇というか、
 喜劇のような悲劇というか。
 でも、人生ってこんなもんだよね。とも思う。


」 小川 洋子 ★★★
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