本はごはん。
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著者は現役のお医者さんで、うつ病を患っていらっしゃるようです。
タイトルにもなっているひとつ目の短編「家族」は、限りなく自叙伝に近い
ようですね。
死を目前にした年老いた父親をめぐり、息子(著者)、姉、義母、そして
死にゆく父本人のそれぞれの心情が展開されていきますが、
同じ状況の中にあって、家族でありながらも思うことはばらばらで、そして
事実に対する認識ですら異なる「家族の現実」が描かれています。
しかしそれでも「家族」なんでしょう。
エッセイ風の短編も収められていますが、そのなかでとても驚愕することが。
80歳を超えるおばあちゃん、長年働き続けて首のしわの中まで真っ黒に日焼け
しています。
このおばあちゃん、自分の主治医である著者の作品(著書)はすべて読んでいます。
これだけでもびっくりなのに、ある日このおばあちゃんは
「あんたの文章は静かでいいけれど、書くことがみんな後ろ向き過ぎていけない。
これはあたしが若いころに読んで、力をもらった本だからあんたも読みなさい」
と、岩波文庫の『自省録 』(マルクス・アウレリウス著)を、著者に差し出すのです。
これが驚愕せずにいられようか。
古い時代に生き、嫁ぎ先に仕え子供を育て、働きずめでありながら、お風呂をまきで焚きながら
本を読んでいたのです。そして今も。
おそらく暮らしはさほど豊かでもなく、自由も自分の時間も持てなかったであろうおばあさん
ですが、なんと心は豊かで、自由だったのか。
こういう人を本当の文化人というのではないかと思う。
あたしも「自省録」読んでみよう。
「家族 」 南木 佳士 ★★★
タイトルにもなっているひとつ目の短編「家族」は、限りなく自叙伝に近い
ようですね。
死を目前にした年老いた父親をめぐり、息子(著者)、姉、義母、そして
死にゆく父本人のそれぞれの心情が展開されていきますが、
同じ状況の中にあって、家族でありながらも思うことはばらばらで、そして
事実に対する認識ですら異なる「家族の現実」が描かれています。
しかしそれでも「家族」なんでしょう。
エッセイ風の短編も収められていますが、そのなかでとても驚愕することが。
80歳を超えるおばあちゃん、長年働き続けて首のしわの中まで真っ黒に日焼け
しています。
このおばあちゃん、自分の主治医である著者の作品(著書)はすべて読んでいます。
これだけでもびっくりなのに、ある日このおばあちゃんは
「あんたの文章は静かでいいけれど、書くことがみんな後ろ向き過ぎていけない。
これはあたしが若いころに読んで、力をもらった本だからあんたも読みなさい」
と、岩波文庫の『自省録 』(マルクス・アウレリウス著)を、著者に差し出すのです。
これが驚愕せずにいられようか。
古い時代に生き、嫁ぎ先に仕え子供を育て、働きずめでありながら、お風呂をまきで焚きながら
本を読んでいたのです。そして今も。
おそらく暮らしはさほど豊かでもなく、自由も自分の時間も持てなかったであろうおばあさん
ですが、なんと心は豊かで、自由だったのか。
こういう人を本当の文化人というのではないかと思う。
あたしも「自省録」読んでみよう。
「家族 」 南木 佳士 ★★★
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