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本はごはん。
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4122048885.jpg  新撰組伍長、島田魁の人生をたどった「いつの日か還る」の著者、
 中村彰彦氏による幕末入門書。

 ちなみに上記「いつの日か還る」は小説風に美化されている感が
 多少ありつつも、史実に則って丁寧に書かれており、近藤や土方の
 目線ではなく、隊士の目に映る近藤や土方、そして新撰組が描かれ
 ており、なかなか面白い本でありました。

 で、この「幕末入門」。

 そもそも幕末というのは【尊皇】だの【譲位】だの【佐幕】だの、
 挙げ句の果てに本当は会津と薩摩が官軍だったのに、

 政変(暗殺説もある)によって会津は賊軍に貶められ、薩摩と長州が官軍に
 なってしまうと言うこれぞまさしく「勝てば官軍」、なんともややこしく
 判りにくい時代ですが、この本ではそのあたりをとても判りやすく、また
 それぞれの思考傾向の元となった成り立ちも含めて解説してあります。

 会津、新撰組、長州、薩摩、土佐についてそれぞれ整理されているので、
 それぞれがそれぞれにどんな正義を胸に抱いて幕末を走り抜けていったのかが
 よく理解でき、またどの正義が正しくて、どの正義が間違っていたと言うこと
 ではなく、抗い難い時代のうねりのようなものを感じざるをえません。

 それにしてもこの時代、素晴らしく優秀な人がこんなにもたくさん輩出されていた
 ことにとても驚きます。

 龍馬暗殺犯の推理が面白いです。まったく今も昔も政治ってヤツは。
 ああ、やっぱり土方が(以下略)。


幕末入門」中村 彰彦 ★★★
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02148558.jpg  いやもう面白いの何のって。

 サラリーマンの三大不良債権のひとつとまで言われている「専業主婦」に
 関する様々な論説がいっぺんに読めます(夫の溜息も)。
 (サラリーマンの三大不良債権=マイホーム、子供、専業主婦、らしい)

 中には、「子供の健やかな成長のために主婦は家庭にいるべき
 (=専業主婦たるべき)で、健全で明るく楽しい家庭を築くために、
 主婦はなるべく外出も控えよう」って、おいおいオッサンそんなこと
 言って大丈夫なのこれって3〜40年前に書かれたヤツかしらと思って

 文末見たらなんと1998年でしかも(現在はわかんないけど)当時
 れっきとした大学の教授で、

 さらにこれにとどまらず、「私の説に反論する権利があるのは、公共の場で自説を展開し
 明確にしている人のみ」と、もうこれでもかこれでもかでのけぞりまくったり、

 専業主婦国家謀略論を叫ぶひともいれば、経済面から分析する人もいて石原里紗氏の例の
 「ふざけんな専業主婦!」も入ってるし、結構楽しめます。

 個人的には山田昌弘氏の分析が実情に近いんじゃないかと思います。
 しかしいつも思うんですが、世間の「専業主婦」ってくくり方自体が、相当乱暴なんじゃ
 ないんですかね。


夫と妻のための新・専業主婦論争 」 中公新書ラクレ編集部 ★★★
51FjCXyXn3L._AA240_.jpg  ジャンルは「小説」に入れておきましたが、正しくは「戯曲」ですね。
  先日、劇団四季の鹿鳴館を見まして、ちょっと引っかかるモノがあって、
 たしか遙か昔あたくしがまだ小娘であったころ読んだことがあったはずの
 鹿鳴館を手に取りました。

 あたくしごときがあーだこーだ言うには恐れ多い作品ではありますが、
 三島は、この舞台を演じる俳優にもそれを見る観客にもとても高いハードルを
 課しており、もしかしたらそのハードルを越えられる俳優も観客も、
 現代の日本にはもう殆どいないのではないかもちろんあたくしも含めて。

 もしくは言い方を変えれば、文学というのはこういう水準のものを文学と
 言うのであって、このくらいのものが普通であって、
              それに引き替え昨今の(以下略)。

 ため息が出るほど美しい日本語の海。
 人間の持つ業と愛憎の全てが見事に交錯する構成。
 完璧としか言いようがない。


鹿鳴館」 三島 由起夫  ★★★★★
11UvYfxCHdL._PC_SH50_.jpg ジャンル分けに一瞬悩みましたが。

この著者の(というか詩人の)「良いおっぱい悪いおっぱい
パパはごきげんななめ」 「居場所がない!」あたりを読んだのは、
もう10年以上前じゃないかしら。
今回新刊を見つけて著者の出版物一覧を見たら、読んでない本を発見!

おなか ほっぺ おしり トメ」「伊藤ふきげん製作所」いずれももう 古本しか
ないので、amazon でユーズド品を取り寄せ。

なんとなんと。「おなかほっぺおしりそしてふともも」あたりまであんなに
小さかったカノ子とサラ子がこんなに大きくなったんですね

ほうほう思春期ですかしかももうひとりトメまでいるんですか
ええええっ !? 西さんと離婚れちゃったんですかあっ!
なんだか勝手に、昔近所に住んでいた一家に久しぶりに会った気分。

それでもってこの「とげ抜き」です。
いつも思うのですが、これほど繊細でこれほど強いひとがいるだろうか。それはどんな逆風にも
しゃなりしゃなりとしなやかにしなり、決して折れることのない強さ。

そして相変わらず言葉をまるで自分の肉体の一部のように扱う。
甘やかすのではなく辛辣に。これでもか! と使う。
言葉は呪いであると識りながら、流れるように言霊を紡ぐ。

まったく、参るなぁ。


とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起」 伊藤 比呂美  ★★★★
31951075.JPG.jpg  安達千夏と並んで、表現力の高い作家だと思う。
 とくにこのひとは、高いクオリティでディティールを掬い上げる。
 彼女は女性同士の恋愛を多く描くけど、恋愛小説としてとても上質。

 この作家のオススメはこの作品と、「弱法師」のなかの中篇「卒塔婆小町」。

 この手の本を読んでいつも思うのは、セクシャリティとは何か、ということ。
 「エロス」は「性愛」であって、「異性愛」ではなかったよな確か。

 エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んでも、飯田史彦の
 「愛の論理」を読んでも、やっぱり愛というものはセクシャリティごときに
 縛られてしまうようなヤワなもんじゃないんだろう。

そしてそして。あたくしにはそっち(ビアン)系の素養はあるのだろうか。
…ないな。


サグラダ・ファミリア-聖家族」 中山 可穂 ★★★★
31886335.JPG.jpg  連作短編集ですが。
 個々の短編より、連作が集まった全体の完成度が高い作品。

 母親、子供、妻、夫、女子高生、通りすがりの人それぞれが「とりつく」
 ものはやはりそれぞれですが、特に、

 夫を残して若くして亡くなった「妻」と、
 妻と幼い子供を残して亡くなった「夫」の

 コントラストが鮮やかでした。


とりつくしま」 東 直子  ★★★★
31930129.JPG.jpg  物事の本質を捉えることがとても上手い著者だっただけに、
 亡くなってしまったことがとても残念です。
 一度公演を聴いてみたかった。

 「コミュニケーション」に関する分析は、さすがです。





米原万里の「愛の法則」」 米原 万里  ★★★
31951411.JPG.jpg  ホスピスと言う言葉はずいぶん定着した感がありますが、
 同時に誤解をも生んでいるように思います。
 緩和ケア病棟のルポルタージュですが、緩和ケアというよりも、医療の
 トータルケアを目指している医療機関のようです。

 トータルケアというと「がんばらない 」「あきらめない 」でおなじみの
 鎌田實医師の諏訪中央病院が有名ですが、こういった医療機関が数えるほど
 にしか存在しないことの恐怖。

 良書だと思いますがの数が少ないのは、スタンスとがアプローチとかが、
 あたくしの好みとちょっと違うということで。


ふつうの生、ふつうの死—緩和ケア病棟「花の谷」の人びと 」 土本 亜理子 ★★
10132971.jpg  ハードボイルド系の作家だとばかり思っていました。

 連作短編集です。設定自体が面白くて、それをテンポよく読ませます。
 作品自体面白いと思うのですがちょっと意外だったのは、この作家の
 ディティールの表現力。ある種、安達 千夏の表現力に通じるような。

 それは特に女性に対しての表現によく現れています。
 男性作家が女性をこんなふうに表現することが、とても新鮮。


 「君たちに明日はない」 垣根 涼介 ★★★★

16774101.jpg  良書ですね。
 こういうテーマをさらっと軽く、しかり軽んじることなく語れる才能は
 すばらしい。

 中学生くらいのときに必ず読むべきだと思います。
 そしてタイトルの意味を考えるべきです。



 「カラフル」 森 絵都 ★★★

40850485.jpg  短編集。

 この著者の本は殆ど読んでおり、はずれのない作家だと思っていますが、
 タイトルにもなっている1本目の短編「看守眼」は、ほぅそうくるか、
 と思った結末でした。




 「看守眼」 横山 秀夫 ★★★★

09408093.jpg  かつて子供だったすべてのおとなが読むべき本。

 人はこれほどまでに残酷になれるけれど
 ほんとうはこんなにも優しいのだ。




  
 「死日記」 桂 望実 ★★★★★

31868372.JPG.jpg  この手の本、好きなんですよ。

 右ページに(いきなり)裁判官のお言葉。左ページにその事件や裁判官のお言葉
 が発せられるに至った背景などの解説が書かれていますが、見開きページ
 完結型なので、詳細な事件背景はわかりません。

 そういう意味では、北尾トロ氏の「裁判長! ここは懲役4年でどうですか」の方が
 よりこってり味わえるかもしれません。この本は、北尾氏の粘着性がよく現れて
 おり、好みの分かれるところかもしれませんが。


 「裁判官の爆笑お言葉集」 長嶺 超輝 ★★★

31400927.jpg  単行本で刊行された当時読んで、今回再読してみましたが。

 なかなか凄まじいです。
 あたしも人を愛せないので、その恐怖心や負い目や無力感みたいのは
 判る「つもり」なんですが、おそらくここまでではない。

 「愛されない」のと
 「愛することができない」のと、
 どちらより不幸なのか。

しかしここまで「愛してくれ!」と叫ぶことは、きっとあたしにはできないなぁ。

ちらりと、本当に一瞬だけ出てくる三島由紀夫に関する考察が興味深い。

人は、パンのみにて生くるにあらず。


ひとを愛することができない―マイナスのナルシスの告白」 中島 義道 ★★★★★
16773601.jpg  「パラサイト・シングル」で議論を巻き起こした社会学者の山田先生が、
 ペットについて書いているのでちょっとびっくりしたんですが、
 よく考えてみれば「家族社会学」にペットはもう必須のものかも知れません。

 あまり目新しい論旨はないんですが、ペットは学者をもメロメロにした
 というところが面白かったというか、彼はそれがいちばん
 言いたかったのかも。



 「家族ペット―ダンナよりもペットが大切」 山田 昌弘 ★★★
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