本はごはん。
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うーん。これはなかなか、野心的な作品ですね。
タイトルや設定の大胆さにつられて読むと、ちょっと肩すかしを食うかも
しれません。
タイトル通り、自分の住む町が隣町と戦争を始め、いつの間にか主人公も
戦争に巻き込まれていくのですが、これが巻き込まれているんだかいないん
だか判らない。つまり、自分も「戦争の当事者」のひとりであるにも
かかわらず、「戦争の実感」が全く感じられない。
「戦争の影響」はある。間違いなくある。しかしそれも、実感できる、
つまりははっきりと認識される影響はごくわずか、それも極個人的なこと
でしか実感されない。
恐らく多くの人は、「これは小説の中の話で、それも、となりの町との戦争
だから実感も自覚も出来ないだけで、本当の戦争は違う」と思うかもしれま
せんが、恐らく著者は、「本当の戦争だってこんなもんだ」ということを言っている。
別章で出てくる「24時間営業のコンビニが林立する中でエコを声高に叫ぶ矛盾」もまったく
同じ構造。
何も自覚も実感も出来なくても、今のこの世に生まれ今のこの世に生きている我々は、誰かの
血と死の上に安穏とした世界を築いているのだということ。
「戦争は、日常と切り離された対極にあるのではなく、日常の延長線上にあるのだ」。
「なぜ戦うのか」と問われた戦闘員が、
「そうしてでも守りたいものがあるからじゃないでしょうか」と答えますが、続けて、
「わたしのそれ(=戦ってまで守りたいもの、守るべきもの)は何だったか、もう忘れて
しまいましたけれど」と。
つまりは、いつの間にか当初の目的は薄れ、戦うこと、殺し合うこと自体が目的化してしまうのが
戦争ということなんでしょう
著者の野心(いや、意欲?)は大いに評価するのですが、それを「小説という作品」に昇華
するという意味合いではもう一声期待したいところであります。
「となり町戦争」 三崎 亜記 ★★★
タイトルや設定の大胆さにつられて読むと、ちょっと肩すかしを食うかも
しれません。
タイトル通り、自分の住む町が隣町と戦争を始め、いつの間にか主人公も
戦争に巻き込まれていくのですが、これが巻き込まれているんだかいないん
だか判らない。つまり、自分も「戦争の当事者」のひとりであるにも
かかわらず、「戦争の実感」が全く感じられない。
「戦争の影響」はある。間違いなくある。しかしそれも、実感できる、
つまりははっきりと認識される影響はごくわずか、それも極個人的なこと
でしか実感されない。
恐らく多くの人は、「これは小説の中の話で、それも、となりの町との戦争
だから実感も自覚も出来ないだけで、本当の戦争は違う」と思うかもしれま
せんが、恐らく著者は、「本当の戦争だってこんなもんだ」ということを言っている。
別章で出てくる「24時間営業のコンビニが林立する中でエコを声高に叫ぶ矛盾」もまったく
同じ構造。
何も自覚も実感も出来なくても、今のこの世に生まれ今のこの世に生きている我々は、誰かの
血と死の上に安穏とした世界を築いているのだということ。
「戦争は、日常と切り離された対極にあるのではなく、日常の延長線上にあるのだ」。
「なぜ戦うのか」と問われた戦闘員が、
「そうしてでも守りたいものがあるからじゃないでしょうか」と答えますが、続けて、
「わたしのそれ(=戦ってまで守りたいもの、守るべきもの)は何だったか、もう忘れて
しまいましたけれど」と。
つまりは、いつの間にか当初の目的は薄れ、戦うこと、殺し合うこと自体が目的化してしまうのが
戦争ということなんでしょう
著者の野心(いや、意欲?)は大いに評価するのですが、それを「小説という作品」に昇華
するという意味合いではもう一声期待したいところであります。
「となり町戦争」 三崎 亜記 ★★★
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