本はごはん。
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この本のタイトルを見た正直なところは、「また新語か…」でありました。
言葉というものは不思議なモノで、例えば「多重人格」という症例が一般に
認知されると多重人格患者が爆発的に発生するみたいなことがあって、その
そもそもの認知は「言葉」であり「命名」であったりするわけで、なんというか
こう負を誘発してしまう危険も孕んでいるのではないかと思ったりするのです。
(「プチ鬱」なんてその最たるモノではないかと)。
まあそれはいいのですが。
タイトルにある「アベンジャー」とは、「復讐者」という意味だそうです。
自分の不運や孤独を家庭や学校や職場や社会といった他者に責任転嫁し、
秋葉原事件などをはじめとする数々の通り魔大量殺人のような方法で『復讐を遂げる』。
何故そこにまで至ってしまうのか『環境』『個人』とわけて丁寧に考察されています。
昨今の「派遣切り」などに代表される労働条件の悪化など、環境の変化ばかりあげつらうのでは
なく、「共感性、想像力、忍耐力、葛藤処理能力の低下」など、個人が未成熟化してきている
現状もきちんと指摘されています。
著者の言う「自己愛型社会」、まったく現代社会はそうだとおもうのですが、それはマズローの
5段階欲求理論の最高次の「自己実現欲求」の段階に、少なくとも先進国は到達したという
ことなんでしょう。
それなのに、それが人間の根本を脅かすような状況を創り出している皮肉な現状は、
それを資本主義によって手に入れたからなんでしょうか。
オーストラリアの経済学者、クライブ・ハミルトン氏の
「経済成長神話(=市場経済)は必ずしも人を幸せにしない」
という説を思い出します。
彼は、
「過剰な消費を止めて、家族やコミュニティと関わることにって得られる幸せを求めよう」
とも言っていますが、この自己愛型社会、本当の愛とか幸せを既に見失い、
薄っぺらい満足を「消費」することでなんとか不安定な自己を支えている状況
(著者の言うところの「人間の根幹に関わる部分まで市場経済に支配されている」)
のなかで、果たして人間は本来の人間を取り戻すことができるのでしょうか。
「アベンジャー型犯罪―秋葉原事件は警告する」 岡田 尊司 ★★★★★
言葉というものは不思議なモノで、例えば「多重人格」という症例が一般に
認知されると多重人格患者が爆発的に発生するみたいなことがあって、その
そもそもの認知は「言葉」であり「命名」であったりするわけで、なんというか
こう負を誘発してしまう危険も孕んでいるのではないかと思ったりするのです。
(「プチ鬱」なんてその最たるモノではないかと)。
まあそれはいいのですが。
タイトルにある「アベンジャー」とは、「復讐者」という意味だそうです。
自分の不運や孤独を家庭や学校や職場や社会といった他者に責任転嫁し、
秋葉原事件などをはじめとする数々の通り魔大量殺人のような方法で『復讐を遂げる』。
何故そこにまで至ってしまうのか『環境』『個人』とわけて丁寧に考察されています。
昨今の「派遣切り」などに代表される労働条件の悪化など、環境の変化ばかりあげつらうのでは
なく、「共感性、想像力、忍耐力、葛藤処理能力の低下」など、個人が未成熟化してきている
現状もきちんと指摘されています。
著者の言う「自己愛型社会」、まったく現代社会はそうだとおもうのですが、それはマズローの
5段階欲求理論の最高次の「自己実現欲求」の段階に、少なくとも先進国は到達したという
ことなんでしょう。
それなのに、それが人間の根本を脅かすような状況を創り出している皮肉な現状は、
それを資本主義によって手に入れたからなんでしょうか。
オーストラリアの経済学者、クライブ・ハミルトン氏の
「経済成長神話(=市場経済)は必ずしも人を幸せにしない」
という説を思い出します。
彼は、
「過剰な消費を止めて、家族やコミュニティと関わることにって得られる幸せを求めよう」
とも言っていますが、この自己愛型社会、本当の愛とか幸せを既に見失い、
薄っぺらい満足を「消費」することでなんとか不安定な自己を支えている状況
(著者の言うところの「人間の根幹に関わる部分まで市場経済に支配されている」)
のなかで、果たして人間は本来の人間を取り戻すことができるのでしょうか。
「アベンジャー型犯罪―秋葉原事件は警告する」 岡田 尊司 ★★★★★
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