本はごはん。
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長編です。言うまでもなく作品の完成度はとても高く。
良人の女性問題でさんざん悩まされてきた妻が、良人の死後良人の実家に
身を寄せ、舅の情人となりながらも、若い下男に惹かれていく…という
ものですが。
主人公の未亡人が、何とも破滅的な人の愛し方、生き方をするというか、
つまり彼女も自分自身しか愛していないわけです。そして自分が生きて
いるという実感を「苦悩」によってしか得られなくなってしまっている。
だから彼女に苦しみを与え続け、苦悩させ続けた良人が亡くなってしま
うと、新たな苦悩の種を見つけずには居られない。愛の対象に求める
ものがどうしても「苦悩」になってしまう。
衣食住に何の不安もない彼女は、ひたすらに精神世界で言語を弄ぶことができる立場ですが、
彼女が好意を寄せた若い下男は「愛」という概念をそもそも持っていません。
このすれ違いが最大の悲劇であり喜劇でしょう。「愛」どころか、彼女は自分が期待した
「苦悩」さえも得られなかったのですから、ああいうラストになってしまうのでしょう。
女性のもつ残酷さや底意地の悪さなども巧みに表現されていて、構成も含め「巧み」だなぁ
と思います。
「愛の渇き」 三島 由紀夫 ★★★★★
良人の女性問題でさんざん悩まされてきた妻が、良人の死後良人の実家に
身を寄せ、舅の情人となりながらも、若い下男に惹かれていく…という
ものですが。
主人公の未亡人が、何とも破滅的な人の愛し方、生き方をするというか、
つまり彼女も自分自身しか愛していないわけです。そして自分が生きて
いるという実感を「苦悩」によってしか得られなくなってしまっている。
だから彼女に苦しみを与え続け、苦悩させ続けた良人が亡くなってしま
うと、新たな苦悩の種を見つけずには居られない。愛の対象に求める
ものがどうしても「苦悩」になってしまう。
衣食住に何の不安もない彼女は、ひたすらに精神世界で言語を弄ぶことができる立場ですが、
彼女が好意を寄せた若い下男は「愛」という概念をそもそも持っていません。
このすれ違いが最大の悲劇であり喜劇でしょう。「愛」どころか、彼女は自分が期待した
「苦悩」さえも得られなかったのですから、ああいうラストになってしまうのでしょう。
女性のもつ残酷さや底意地の悪さなども巧みに表現されていて、構成も含め「巧み」だなぁ
と思います。
「愛の渇き」 三島 由紀夫 ★★★★★
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