本はごはん。
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基本的に史実をきちんと踏まえているもの以外、殆ど時代小説は読まないの
ですが、直木賞受賞作でもあるので読んでみます。
構成は有吉佐和子の名著「悪女について」と同じで、関係者の証言から
ある花魁の輪郭を浮き彫りにしていきます。
その過程で、吉原の文化や風習、しきたりなどが解説臭くなく紹介されていく
ところはよくできている上、しきたりやシステムなどの説明よりも廓文化が
前面に出ているせいか、下世話な話に落ちずに、
絢爛で奢侈な絵巻をみているかのような、ほんのり哀しい、豪奢な世界が
繰り広げられていて、
この「吉原」という舞台とその世界が見事に展開されているところは秀逸です。
ただ、「小説」として考えたときに、前掲の「悪女について」が、読み進めるうちに該当者の
持つ「違う顔」が次々と明らかになっていくダイナミズムに対し、こちらは展開がやや
大人しめというか。
まあ構成が同じだからと言って単純に比べられるものではないですけども。
ただいずれにしても、「悪女について」では多彩な仮面を持ちながらも彼女が抱え続けた
「変わらない孤独」、
「吉原手引草」では環境が変わろうと時が移ろおうと花魁が持ち続けた
「孤独な意志」
が描かれているように思うのです。
彼女たちが抱え続けたもの。それを「女の業」なんて言葉で片付けたくないなぁ。
「吉原手引草」 松井 今朝子 ★★★★
ですが、直木賞受賞作でもあるので読んでみます。
構成は有吉佐和子の名著「悪女について」と同じで、関係者の証言から
ある花魁の輪郭を浮き彫りにしていきます。
その過程で、吉原の文化や風習、しきたりなどが解説臭くなく紹介されていく
ところはよくできている上、しきたりやシステムなどの説明よりも廓文化が
前面に出ているせいか、下世話な話に落ちずに、
絢爛で奢侈な絵巻をみているかのような、ほんのり哀しい、豪奢な世界が
繰り広げられていて、
この「吉原」という舞台とその世界が見事に展開されているところは秀逸です。
ただ、「小説」として考えたときに、前掲の「悪女について」が、読み進めるうちに該当者の
持つ「違う顔」が次々と明らかになっていくダイナミズムに対し、こちらは展開がやや
大人しめというか。
まあ構成が同じだからと言って単純に比べられるものではないですけども。
ただいずれにしても、「悪女について」では多彩な仮面を持ちながらも彼女が抱え続けた
「変わらない孤独」、
「吉原手引草」では環境が変わろうと時が移ろおうと花魁が持ち続けた
「孤独な意志」
が描かれているように思うのです。
彼女たちが抱え続けたもの。それを「女の業」なんて言葉で片付けたくないなぁ。
「吉原手引草」 松井 今朝子 ★★★★
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