本はごはん。
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ミステリですね。
ミステリファンの方にはいいのかもしれませんが、あたくし的には
もう一声…というか。
最後の短編をのぞいて、「地雷」をテーマにした連作になっています。
連作を全て見通すと、NPOの実情や現地の複雑な感情や思惑など総合的
に浮かび上がってくるものはあるのですが、それでもひとつひとつの
短編がちょっと浅いように感じてしまうのです。ひとつめの短編でそう
思ったのでそんな印象がついちゃったのかもしれませんが。
それは最後の短編(地雷モノではない)が特に顕著で、停まってしまった
エレベーターの中での殺人、というミステリのテーマとしてはいいとしても、
なんというか登場人物たちの描き込み、犯人の動機、そのあたりが何とも
物足りなく…。
いちばん良かったのはNPOの資金集めの話かなぁ。
好みの問題だと思いますすいません。
「顔のない敵」 石持 浅海 ★★
ミステリファンの方にはいいのかもしれませんが、あたくし的には
もう一声…というか。
最後の短編をのぞいて、「地雷」をテーマにした連作になっています。
連作を全て見通すと、NPOの実情や現地の複雑な感情や思惑など総合的
に浮かび上がってくるものはあるのですが、それでもひとつひとつの
短編がちょっと浅いように感じてしまうのです。ひとつめの短編でそう
思ったのでそんな印象がついちゃったのかもしれませんが。
それは最後の短編(地雷モノではない)が特に顕著で、停まってしまった
エレベーターの中での殺人、というミステリのテーマとしてはいいとしても、
なんというか登場人物たちの描き込み、犯人の動機、そのあたりが何とも
物足りなく…。
いちばん良かったのはNPOの資金集めの話かなぁ。
好みの問題だと思いますすいません。
「顔のない敵」 石持 浅海 ★★
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実在した新田岩松満次郎俊純という大名、この人の先祖は源氏から続く
徳川家の先祖筋にあたるというすばらしい血筋のひとでありますが、
この人の生涯を追いながら、江戸末期の風俗や幕末の動乱などが
鮮やかに描かれています。
これほど血筋は良くても経済的にはかなり厳しくて、殿様自ら
資金繰りのために新年の挨拶回りをしたり、
殿様と言っても庄屋の家に泊まって、当主と酒を酌み交わしたり、
そこで相談事を持ち込まれて仲裁したり、
とてもたくさんのエピソードがちりばめられていて、そこからかいま見えるのは
殿様と庶民との距離感が近しい牧歌的な世情。
しかし時は動乱の幕末。後半は時代のうねりに翻弄されていきます。
江戸時代のしきたりや風習、風俗、江戸っ子気質なども描き込まれていて楽しめます。
また「招き猫」の元になった猫は豪徳寺の猫であったことや、「ずいずいずっころばし」の
由来となった儀式など、たくさんのことが詰まった良書です。
井上馨の奥さんの武子というのは、この人の娘だったんですね。
「猫大名」 神坂 次郎 ★★★★
徳川家の先祖筋にあたるというすばらしい血筋のひとでありますが、
この人の生涯を追いながら、江戸末期の風俗や幕末の動乱などが
鮮やかに描かれています。
これほど血筋は良くても経済的にはかなり厳しくて、殿様自ら
資金繰りのために新年の挨拶回りをしたり、
殿様と言っても庄屋の家に泊まって、当主と酒を酌み交わしたり、
そこで相談事を持ち込まれて仲裁したり、
とてもたくさんのエピソードがちりばめられていて、そこからかいま見えるのは
殿様と庶民との距離感が近しい牧歌的な世情。
しかし時は動乱の幕末。後半は時代のうねりに翻弄されていきます。
江戸時代のしきたりや風習、風俗、江戸っ子気質なども描き込まれていて楽しめます。
また「招き猫」の元になった猫は豪徳寺の猫であったことや、「ずいずいずっころばし」の
由来となった儀式など、たくさんのことが詰まった良書です。
井上馨の奥さんの武子というのは、この人の娘だったんですね。
「猫大名」 神坂 次郎 ★★★★
12編の短編からなる短編集ですが、全て手紙で構成されています
(届出書とかメモもあり)。
書簡形式で構成される小説というのは、なんというか他人から他人に宛て
られた手紙を覗き見しているようで、その人物の背景やら状況やらを
より想像しようとするちからが働くように思います。
どの短編も面白く、手紙や届出書などの形式を最大限に活かしたストーリィ
となっており、更に、個別の短編はもとより、「短編集として」も秀逸の
出来だと思います。
ううむ、さすがだなぁ、プロだなぁ。
「十二人の手紙」 井上 ひさし ★★★★★
(届出書とかメモもあり)。
書簡形式で構成される小説というのは、なんというか他人から他人に宛て
られた手紙を覗き見しているようで、その人物の背景やら状況やらを
より想像しようとするちからが働くように思います。
どの短編も面白く、手紙や届出書などの形式を最大限に活かしたストーリィ
となっており、更に、個別の短編はもとより、「短編集として」も秀逸の
出来だと思います。
ううむ、さすがだなぁ、プロだなぁ。
「十二人の手紙」 井上 ひさし ★★★★★
妻子持ちの男と、年下の男との間で揺れる(?)話ですが、
結局のところ彼女は、自分で自分を持て余してどうしようもなくて、
誰かに依存しようとしたり
モノに依存しようとしたり
とにかくじたばたと喘ぎ、
そうこうしているうちにますます、何が何だか判らなくなってきて
見ないふりをして逃げるまわる日常
が、とても冷静に表現されています。
なんかのめり込むように読んじゃったのはきっと
自分もそんな風な中にあるからだろうという自覚くらいはあるのです。
「なにも持たず、何物でもなく、とにかくなにもない」ということ。
「ズームーデイズ」 井上 荒野 ★★★★
短編集ですが、タイトルにもなっている「人生ベストテン」が
いいですね。
なかなか鋭い作家ですね。
マンション探しをしている女性と不動産屋の担当営業との会話、
同窓会で自分の近況をどのように話すか、短い間に4パターン考える女、
どれも「ああ、ありがちだなぁ」と思わされます。
日常との折り合いを付けていくということと、流されるということと、
紙一重なのかもしれません。
折り合いを付けていたと思っていたら、いつの間にか流されていた
ということもあるのかもしれません。
大人の女を演じていたら、いつの間にか都合のいい女になっていた
ということもあるのかもしれません。
そして気がついたら、非日常でなければ自分の姿を晒せなくなってしまっていたとか、
本当は自分が何を欲していたのかすら、「折り合いを付けたはずの日常」に埋もれて
しまっていくのかもしれません。
でも、どの短編も湿っぽくないのがいいなぁと思いました。
「人生ベストテン」 角田 光代 ★★★
いいですね。
なかなか鋭い作家ですね。
マンション探しをしている女性と不動産屋の担当営業との会話、
同窓会で自分の近況をどのように話すか、短い間に4パターン考える女、
どれも「ああ、ありがちだなぁ」と思わされます。
日常との折り合いを付けていくということと、流されるということと、
紙一重なのかもしれません。
折り合いを付けていたと思っていたら、いつの間にか流されていた
ということもあるのかもしれません。
大人の女を演じていたら、いつの間にか都合のいい女になっていた
ということもあるのかもしれません。
そして気がついたら、非日常でなければ自分の姿を晒せなくなってしまっていたとか、
本当は自分が何を欲していたのかすら、「折り合いを付けたはずの日常」に埋もれて
しまっていくのかもしれません。
でも、どの短編も湿っぽくないのがいいなぁと思いました。
「人生ベストテン」 角田 光代 ★★★
ううむ。この作家を知らなかったのは不覚であった。
テンポ良いリズムと場面転換、言葉を自在に操りくるくると展開していく
さまは、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を思い出します。
もしくは宮崎アニメ。
しかし恐らく、好き嫌いの分かれる作品(作家?)ではないかとも思います。
あたくしは好きですけどね。
後輩に恋する大学生という良くある話ですが、
こう、何というか万華鏡みたいな世界観。
浸れます。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦 ★★★★
テンポ良いリズムと場面転換、言葉を自在に操りくるくると展開していく
さまは、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を思い出します。
もしくは宮崎アニメ。
しかし恐らく、好き嫌いの分かれる作品(作家?)ではないかとも思います。
あたくしは好きですけどね。
後輩に恋する大学生という良くある話ですが、
こう、何というか万華鏡みたいな世界観。
浸れます。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦 ★★★★
米原万里の代表作と言っても良いこの本を読んでいなかったのは
我ながら不思議です。
歴史ものは好きなんですが、20世紀後半に於ける東欧の民族紛争
問題については、恥ずかしながらちゃんと理解しているとは言えず、
そういえば当時、よく新聞を賑わせていたなぁ、という程度のもので
しかありませんでした。
相変わらず歯切れの良い文章でテンポ良く読ませてくれます。
行方の判らなくなってしまった友人を捜し出す過程も感情移入しながら
読めますし、至る所に、思わず線を引きたくなるような印象的な
フレーズも出てきます。
しかし同時に、ものすごいショックを受けます。
自分はなんとまあ、脳天気に生きてきたんだろうと愕然とします。
10代前半の子供たちが、それぞれの国や民族や歴史を背負って健気に成長し、そしていまだに
それらを引きずって生きて行かなきゃならない。
表題にもなっている「嘘つきアーニャ」が体現している理想と現実の矛盾、これには感情的に
受け入れ難いものがありますが、では自分がその立場であったとき、毅然として特権を払い
のけることが出来るのかといえば、それには甚だ自信がない。
「私は後悔しています。亡くなられたあなたのお父上もきっとそうでしょう」
友人の父親から言われたこの言葉を、著者はどのように消化したのでしょうか。
何とも深く考えさせられる一冊です。
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」 米原 万里 ★★★★★
我ながら不思議です。
歴史ものは好きなんですが、20世紀後半に於ける東欧の民族紛争
問題については、恥ずかしながらちゃんと理解しているとは言えず、
そういえば当時、よく新聞を賑わせていたなぁ、という程度のもので
しかありませんでした。
相変わらず歯切れの良い文章でテンポ良く読ませてくれます。
行方の判らなくなってしまった友人を捜し出す過程も感情移入しながら
読めますし、至る所に、思わず線を引きたくなるような印象的な
フレーズも出てきます。
しかし同時に、ものすごいショックを受けます。
自分はなんとまあ、脳天気に生きてきたんだろうと愕然とします。
10代前半の子供たちが、それぞれの国や民族や歴史を背負って健気に成長し、そしていまだに
それらを引きずって生きて行かなきゃならない。
表題にもなっている「嘘つきアーニャ」が体現している理想と現実の矛盾、これには感情的に
受け入れ難いものがありますが、では自分がその立場であったとき、毅然として特権を払い
のけることが出来るのかといえば、それには甚だ自信がない。
「私は後悔しています。亡くなられたあなたのお父上もきっとそうでしょう」
友人の父親から言われたこの言葉を、著者はどのように消化したのでしょうか。
何とも深く考えさせられる一冊です。
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」 米原 万里 ★★★★★
「制服好き」を自認する著者の、制服論。
制服定番モノのセーラー服やスチュワーデス、ナースなどはもちろん、
宝塚音楽学校やら料理人、自衛隊に鳶職に矢沢永吉まで、まあ制服だけで
ここまでよく…、と感嘆を禁じ得ません。
しかしなかなかに面白く、「拘束される快楽」「滅私するヨロコビ」とか、
ウエディングドレスや七五三を「儀式制服」とカテゴライズしたりしている
あたり、社会学的な考察も入っています。
サラリーマンの制服である「スーツ」の章が、あっけないほど短い。
やはり著者の思い入れの度合いが表れてしまっているのでしょうか。
因みにあたくしも制服好きです。
「制服概論」 酒井 順子 ★★★
制服定番モノのセーラー服やスチュワーデス、ナースなどはもちろん、
宝塚音楽学校やら料理人、自衛隊に鳶職に矢沢永吉まで、まあ制服だけで
ここまでよく…、と感嘆を禁じ得ません。
しかしなかなかに面白く、「拘束される快楽」「滅私するヨロコビ」とか、
ウエディングドレスや七五三を「儀式制服」とカテゴライズしたりしている
あたり、社会学的な考察も入っています。
サラリーマンの制服である「スーツ」の章が、あっけないほど短い。
やはり著者の思い入れの度合いが表れてしまっているのでしょうか。
因みにあたくしも制服好きです。
「制服概論」 酒井 順子 ★★★
あー。
短編集ですが、1作目を読んでいる途中で気がつきました。
ずいぶん前に読んだことあるわこれ…。
ものすごい凹みます。最初に、同じ本を買ってしまったことに気づいたとき
ほどではないけれども(つまり何度かしでかしている)それでもやっぱり
かなり凹みます。はぁぁ。
おかしいなぁ。本のタイトルはともかく、作家で覚えてると思ってたのに…。
まあいいや。も一度読みます。確か面白かった記憶があるから。
日常に潜む狂気というか、些細なきっかけで蓋が外れてそこから
吹き出す本人ですらもうどうしようもないもの、みたいなものが、
日常との対比で鮮やかに描かれています。
文章がとても上手いのと、どの短編もとても濃縮されているような感じがすごいですが、
やはりこの作家は女性の心理描写が秀逸なうえ、観察眼が鋭いように思います。例えば、
タイトルにもなっている1作目「崩れる」は、ダメ夫とダメ息子に最終的にキレてしまう主婦の
話ですが、確かにこのふたりはどうしようもないくらいだめだめです。主婦は夫との結婚を
「カスを掴んだ」とまで表現しています。
しかし、その「カス」と結婚したのは紛れもない自分であること。
息子が「ダメ息子」になった原因の一端は自分にもあること。
言い訳ばかり用意して、現状を打開しようとはしないこと。
そういったことは一切棚に上げており、つまりは彼女も他力本願というか他罰的というか。
「幸せになる」のではなく「幸せにしてもらう」のが当たり前という考えかたのような。
しかしこういう思考傾向はきっと多かれ少なかれ誰にもあるモノで、だから尚一層の恐怖感を
読者に与えるのだろうと思し、そこをすごくうまく突いてきたのは著者の観察眼がベースに
あるからなのではないか、と思いました。
「崩れる―結婚にまつわる八つの風景」 貫井 徳郎 ★★★★
短編集ですが、1作目を読んでいる途中で気がつきました。
ずいぶん前に読んだことあるわこれ…。
ものすごい凹みます。最初に、同じ本を買ってしまったことに気づいたとき
ほどではないけれども(つまり何度かしでかしている)それでもやっぱり
かなり凹みます。はぁぁ。
おかしいなぁ。本のタイトルはともかく、作家で覚えてると思ってたのに…。
まあいいや。も一度読みます。確か面白かった記憶があるから。
日常に潜む狂気というか、些細なきっかけで蓋が外れてそこから
吹き出す本人ですらもうどうしようもないもの、みたいなものが、
日常との対比で鮮やかに描かれています。
文章がとても上手いのと、どの短編もとても濃縮されているような感じがすごいですが、
やはりこの作家は女性の心理描写が秀逸なうえ、観察眼が鋭いように思います。例えば、
タイトルにもなっている1作目「崩れる」は、ダメ夫とダメ息子に最終的にキレてしまう主婦の
話ですが、確かにこのふたりはどうしようもないくらいだめだめです。主婦は夫との結婚を
「カスを掴んだ」とまで表現しています。
しかし、その「カス」と結婚したのは紛れもない自分であること。
息子が「ダメ息子」になった原因の一端は自分にもあること。
言い訳ばかり用意して、現状を打開しようとはしないこと。
そういったことは一切棚に上げており、つまりは彼女も他力本願というか他罰的というか。
「幸せになる」のではなく「幸せにしてもらう」のが当たり前という考えかたのような。
しかしこういう思考傾向はきっと多かれ少なかれ誰にもあるモノで、だから尚一層の恐怖感を
読者に与えるのだろうと思し、そこをすごくうまく突いてきたのは著者の観察眼がベースに
あるからなのではないか、と思いました。
「崩れる―結婚にまつわる八つの風景」 貫井 徳郎 ★★★★
前作「判長!ここは懲役4年でどうすか」に続く裁判傍聴記。
北尾氏の傍聴スタイルは、大事件を追うのではなく、小さな事件をひろいあげる
処にありますが、最後まで見届けるわけではないので結果的に判決はどうなった
のか不明な裁判も結構あります(結果が付記されているモノもありますが)。
やっぱり、いくつかは判決まで追っかけてレポートして欲しいなぁという気が
しないでもない。大事件でなくていいから。
しかし北尾節というか、相変わらずですね。独特の風合い、というかインパクト
のあるイラストと併せてなかなか楽しめます。
しかしちょっと気になるのは、
「やはり裁判というのは被告人が主人公だ(被害者は証人にならない限り出てこれない)」
みたいな記述があって、まあ法改正で被害者が求刑したり出来るようになってきたらしい
ですがそれでも、この記述はある現実の一端を示しているのでしょう。
反省の色もなく身勝手な理論を平気で振りかざし、思わずこの本のタイトルを叫びたく
なるような被告人も結構いますが、それなりの「演技」のできる被告人が傍聴人も含めた
裁判官その他関係者の「心情」を獲得できる余地があるのだとすると、裁判員制度は
ちょっとキケンなような気がしてしまいます。
「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」 北尾 トロ ★★★
北尾氏の傍聴スタイルは、大事件を追うのではなく、小さな事件をひろいあげる
処にありますが、最後まで見届けるわけではないので結果的に判決はどうなった
のか不明な裁判も結構あります(結果が付記されているモノもありますが)。
やっぱり、いくつかは判決まで追っかけてレポートして欲しいなぁという気が
しないでもない。大事件でなくていいから。
しかし北尾節というか、相変わらずですね。独特の風合い、というかインパクト
のあるイラストと併せてなかなか楽しめます。
しかしちょっと気になるのは、
「やはり裁判というのは被告人が主人公だ(被害者は証人にならない限り出てこれない)」
みたいな記述があって、まあ法改正で被害者が求刑したり出来るようになってきたらしい
ですがそれでも、この記述はある現実の一端を示しているのでしょう。
反省の色もなく身勝手な理論を平気で振りかざし、思わずこの本のタイトルを叫びたく
なるような被告人も結構いますが、それなりの「演技」のできる被告人が傍聴人も含めた
裁判官その他関係者の「心情」を獲得できる余地があるのだとすると、裁判員制度は
ちょっとキケンなような気がしてしまいます。
「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」 北尾 トロ ★★★
不思議な短編集です。
タイトルの「78(ナナハチ)」は、レコードの回転数を示しており、
78回転のSPレコードを軸にストーリィは展開していきます。
連作短編集ですが、なんというか時折、パラレルワールドでの連作が
入るというか、とても現実的なストーリィがあるかと思うと
一方でファンタジカルなストーリィがあったりして、
なんとも独特でちょっと不思議で、何とも言い難い魅力を湛えた作品です。
「靴」は何かの暗喩なんだろうか。
「78」 吉田 篤弘 ★★★★
タイトルの「78(ナナハチ)」は、レコードの回転数を示しており、
78回転のSPレコードを軸にストーリィは展開していきます。
連作短編集ですが、なんというか時折、パラレルワールドでの連作が
入るというか、とても現実的なストーリィがあるかと思うと
一方でファンタジカルなストーリィがあったりして、
なんとも独特でちょっと不思議で、何とも言い難い魅力を湛えた作品です。
「靴」は何かの暗喩なんだろうか。
「78」 吉田 篤弘 ★★★★
「バチスタ・シリーズ」4作目、でいいのかしら。
例によって例のごとく、田口センセと白鳥のおっちゃんですが、
ここまでのシリーズの中では一番良いかも。
1作目と比肩する出来だと思います。
今回は院内不正をテーマとしていますが、相変わらず面白い。
「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行なので、二つの話が
うまいことクロスしたりしています。
いつものごとく読みやすく面白いためうっかり見逃してしまいそうになりますが、
リアルな臨床現場や医療が抱える諸問題をしっかり描写しています。
「ふつうの救急センターでは亡くなってしまう人が、ここでは死なないんです!」
と叫んだのはICU副部長代理でしたが、それはその実績を誇ってのことではなく、
生を引き留めてしまったがために派生するコストや人員不足による過重労働に
嘆き怒り疲れ果てた上での叫びでありました。
面白い、で終わらせてはいかんのだろうと思いますが、次回作も期待しています。
「ジェネラル・ルージュの凱旋(上)」「ジェネラル・ルージュの凱旋(下)」 海堂尊 ★★★★★
例によって例のごとく、田口センセと白鳥のおっちゃんですが、
ここまでのシリーズの中では一番良いかも。
1作目と比肩する出来だと思います。
今回は院内不正をテーマとしていますが、相変わらず面白い。
「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行なので、二つの話が
うまいことクロスしたりしています。
いつものごとく読みやすく面白いためうっかり見逃してしまいそうになりますが、
リアルな臨床現場や医療が抱える諸問題をしっかり描写しています。
「ふつうの救急センターでは亡くなってしまう人が、ここでは死なないんです!」
と叫んだのはICU副部長代理でしたが、それはその実績を誇ってのことではなく、
生を引き留めてしまったがために派生するコストや人員不足による過重労働に
嘆き怒り疲れ果てた上での叫びでありました。
面白い、で終わらせてはいかんのだろうと思いますが、次回作も期待しています。
「ジェネラル・ルージュの凱旋(上)」「ジェネラル・ルージュの凱旋(下)」 海堂尊 ★★★★★
介護人をしている女性の独白形式の小説です。
彼女が育った施設での日常やそこで出会った友人や先生、それからの
それぞれの人生などが淡々と綴られていきます。
どうもなにか背後にはヒミツがあるらしい、しかしそれはかなり早い段階で
様々な単語やエピソードなどから殆ど想像がつきます。
にも関わらず最後までぐいぐいと読ませる筆力はすごい。
彼女たちは、諦めたのか受け入れたのか、それとも教育によってそう
刷り込まれたのか。
設定自体はちょっと奇異な感じがしますが、置き換えてみれば今の世の中にも
当てはまることだと思います。
独特な世界観と衝撃を与える作家だと思いました。
「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ ★★★★
彼女が育った施設での日常やそこで出会った友人や先生、それからの
それぞれの人生などが淡々と綴られていきます。
どうもなにか背後にはヒミツがあるらしい、しかしそれはかなり早い段階で
様々な単語やエピソードなどから殆ど想像がつきます。
にも関わらず最後までぐいぐいと読ませる筆力はすごい。
彼女たちは、諦めたのか受け入れたのか、それとも教育によってそう
刷り込まれたのか。
設定自体はちょっと奇異な感じがしますが、置き換えてみれば今の世の中にも
当てはまることだと思います。
独特な世界観と衝撃を与える作家だと思いました。
「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ ★★★★
年末年始お風呂で読む本がなくて、いやまだ読んでない本は
たくさんあるのだけれども、あんまり重たいモノとかは読みたくなくて
どちらかというとサラリとしたものはないかと本棚を物色していたら
出てきました。
数年前に読んだ本で確か面白かった。ので再読です。
初出(単行本)は94年らしいので、もう15年前の本ですね。
著者の学生時代のアルバイト体験を通した青春の記、といったところ
でしょうか。
ガソリンスタンドを皮切りに、肉まん工場での気が狂いそうな単純労働や、
危険な製本工場、スタンドのホットドックやら居酒屋やら松茸梱包など、
実に様々なアルバイトを経験しています。
それぞれのアルバイトの描写も面白いんだけれど、それぞれのアルバイト先で出会った人や
そこで考えたことなど、もうこれでもかと言うくらいに面白い。
そして時々、「ぐっ」と胸が詰まるような場面をさらりと出してきます。
そしてこの本を読んで思ったのは、やっぱり学生時代には「肉体労働」というか、身体を使う
労働を必ず経験すべきなんじゃないか、ということです。家庭教師とか塾の教師ばかりじゃなくて、
販売員でもウエイターでも工場でもいいから、「身体で稼ぐ」ということを経験しておく
ことは大事なんじゃないかと。
読み返してもやっぱり面白い、貴重な本です。
「はたらく青年」 原田 宗典 ★★★★★
たくさんあるのだけれども、あんまり重たいモノとかは読みたくなくて
どちらかというとサラリとしたものはないかと本棚を物色していたら
出てきました。
数年前に読んだ本で確か面白かった。ので再読です。
初出(単行本)は94年らしいので、もう15年前の本ですね。
著者の学生時代のアルバイト体験を通した青春の記、といったところ
でしょうか。
ガソリンスタンドを皮切りに、肉まん工場での気が狂いそうな単純労働や、
危険な製本工場、スタンドのホットドックやら居酒屋やら松茸梱包など、
実に様々なアルバイトを経験しています。
それぞれのアルバイトの描写も面白いんだけれど、それぞれのアルバイト先で出会った人や
そこで考えたことなど、もうこれでもかと言うくらいに面白い。
そして時々、「ぐっ」と胸が詰まるような場面をさらりと出してきます。
そしてこの本を読んで思ったのは、やっぱり学生時代には「肉体労働」というか、身体を使う
労働を必ず経験すべきなんじゃないか、ということです。家庭教師とか塾の教師ばかりじゃなくて、
販売員でもウエイターでも工場でもいいから、「身体で稼ぐ」ということを経験しておく
ことは大事なんじゃないかと。
読み返してもやっぱり面白い、貴重な本です。
「はたらく青年」 原田 宗典 ★★★★★
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