本はごはん。
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執事小説。
というジャンルがあるのかどうか知りませんが、とにかく執事小説です。
相変わらず、上手いなぁと唸らせる構成と文章(翻訳の力も大きい)。
透明な世界観を立ち上らせる文章に、近い過去、現在、遠い過去と縦横無尽に
行き交いながらもなんのストレスも感じさせず、ストーリィにぐいぐい引き
こんでいく構成。
英国の正統派執事として長年主人に仕え、今は屋敷ごと買い取られ、
アメリカ人の主人に仕えている主人公。その設定からしてすでに予感させる
ものがありますが、彼が情熱をもって仕えてきた主人、勤めてきた執事という
仕事、つまり彼の今までの人生について晩年になって正面から向きあう、
というものです。
彼が今までに手に入れたもの。その代わりに失ったもの。
失ったことすら気付かなかったもの。そして、手に入れたと思っていたものが実は幻だったかも
しれないこと。
しかしストーリィはとても軽妙に、絶妙な面白味をあちこちにちりばめながら進んでいくので
決して重苦しいわけではないのですが、それだけにこの切ない哀しみがより一層深く心に響いて
くるのでしょう。
それでもラストで彼は、新しい主人であるアメリカ人のために、ジョークを習得しようと前向き
なのがすこしの救いでありますが、それに対しても「まじめに取り組む」という彼のやり方を
変えられないところが、おかしみと哀しみを上手く表現していると思います。
「彼自身」と、そして彼のような執事が活躍していた「古き良き時代の英国」の夕暮れ
(なにしろアメリカ人が執事ごと屋敷を買い取る時代になってしまったのだから)の両方を
重ね合わせたタイトルも秀逸。
ストーリーにも設定にも奇抜なところは全くないのですが、透き通った哀しみが心に残る作品
だと思います。
「日の名残り」 カズオ イシグロ ★★★★
というジャンルがあるのかどうか知りませんが、とにかく執事小説です。
相変わらず、上手いなぁと唸らせる構成と文章(翻訳の力も大きい)。
透明な世界観を立ち上らせる文章に、近い過去、現在、遠い過去と縦横無尽に
行き交いながらもなんのストレスも感じさせず、ストーリィにぐいぐい引き
こんでいく構成。
英国の正統派執事として長年主人に仕え、今は屋敷ごと買い取られ、
アメリカ人の主人に仕えている主人公。その設定からしてすでに予感させる
ものがありますが、彼が情熱をもって仕えてきた主人、勤めてきた執事という
仕事、つまり彼の今までの人生について晩年になって正面から向きあう、
というものです。
彼が今までに手に入れたもの。その代わりに失ったもの。
失ったことすら気付かなかったもの。そして、手に入れたと思っていたものが実は幻だったかも
しれないこと。
しかしストーリィはとても軽妙に、絶妙な面白味をあちこちにちりばめながら進んでいくので
決して重苦しいわけではないのですが、それだけにこの切ない哀しみがより一層深く心に響いて
くるのでしょう。
それでもラストで彼は、新しい主人であるアメリカ人のために、ジョークを習得しようと前向き
なのがすこしの救いでありますが、それに対しても「まじめに取り組む」という彼のやり方を
変えられないところが、おかしみと哀しみを上手く表現していると思います。
「彼自身」と、そして彼のような執事が活躍していた「古き良き時代の英国」の夕暮れ
(なにしろアメリカ人が執事ごと屋敷を買い取る時代になってしまったのだから)の両方を
重ね合わせたタイトルも秀逸。
ストーリーにも設定にも奇抜なところは全くないのですが、透き通った哀しみが心に残る作品
だと思います。
「日の名残り」 カズオ イシグロ ★★★★
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