本はごはん。
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大正時代末期、吉原に売られた女性の日記です。
究極のドキュメンタリーですね。
家の貧しさ故に「お酒の相手をすればいいだけ」という言葉を信じ、吉原に
売られてしまいます。そして吉原の、自分が従事しなければならない仕事の
内容を知るごとに、激しい怒りと不安と哀しみと憎しみが彼女を襲います。
とても素直に彼女の感情が綴られているように思います。初見せに上がる
ことを恐怖しながらも、当日、支度を終えた自分に羨望の眼差しを送る
先輩花魁たちに密やかに得意げな気持ちになったり、
初めて客を取ったあとの絶望や、
当初彼女の憎悪は周旋屋に向けられていたのですが、もしかしたら母は
吉原がこういうところだと知っていて売ったのではないかということに
思い至ってしまい、そう思う自分の心を責めたり、
彼女の心の軌跡が丁寧に綴られていると思います。
身売りの際の証文には彼女の借金総額しか記載されておらず、売られた後で借金の返済と必要経費
を引かれたら手元には1割くらいしか残らない契約形態であることを知らされたり、実際には借金を
重ねなければ暮らしていけない仕組みになっていたり、これが今からたった90年前のできごとだと
いうことに驚きます。
貧しさ故に売られたということや当時の時代背景からすると恐らく、著者は小学校しか出ていない
のではないかと考えますが、それにしては文章がしっかりしているなぁというのも正直な感想です。
吉原脱出後、周りの支援者たちが(日記に)手を入れた可能性も考えられますが、もしそうだと
しても、逆境のなかで日記を書き続け、そして売られた女として吉原に染まってしまったり、
ずるずると堕落することなく脱出という手段で自分の未来を切り開いた著者の強い意志と想いは、
一切損なわれていないと思うのであります。
「吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日」 森 光子 ★★★★
究極のドキュメンタリーですね。
家の貧しさ故に「お酒の相手をすればいいだけ」という言葉を信じ、吉原に
売られてしまいます。そして吉原の、自分が従事しなければならない仕事の
内容を知るごとに、激しい怒りと不安と哀しみと憎しみが彼女を襲います。
とても素直に彼女の感情が綴られているように思います。初見せに上がる
ことを恐怖しながらも、当日、支度を終えた自分に羨望の眼差しを送る
先輩花魁たちに密やかに得意げな気持ちになったり、
初めて客を取ったあとの絶望や、
当初彼女の憎悪は周旋屋に向けられていたのですが、もしかしたら母は
吉原がこういうところだと知っていて売ったのではないかということに
思い至ってしまい、そう思う自分の心を責めたり、
彼女の心の軌跡が丁寧に綴られていると思います。
身売りの際の証文には彼女の借金総額しか記載されておらず、売られた後で借金の返済と必要経費
を引かれたら手元には1割くらいしか残らない契約形態であることを知らされたり、実際には借金を
重ねなければ暮らしていけない仕組みになっていたり、これが今からたった90年前のできごとだと
いうことに驚きます。
貧しさ故に売られたということや当時の時代背景からすると恐らく、著者は小学校しか出ていない
のではないかと考えますが、それにしては文章がしっかりしているなぁというのも正直な感想です。
吉原脱出後、周りの支援者たちが(日記に)手を入れた可能性も考えられますが、もしそうだと
しても、逆境のなかで日記を書き続け、そして売られた女として吉原に染まってしまったり、
ずるずると堕落することなく脱出という手段で自分の未来を切り開いた著者の強い意志と想いは、
一切損なわれていないと思うのであります。
「吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日」 森 光子 ★★★★
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