bookshelf 『船に乗れ! Ⅰ~Ⅲ』 藤谷治 忍者ブログ
本はごはん。
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NEOBK-923994.jpg  どうも世間の評判は良いようだけれども、3冊にも分けて書く必要が
 本当にあったのか、という疑念を拭いきれずに読み始めた本書でありますが。
 すいません間違ってました。面白いです。

 裕福な音楽一家に育ち、チェロ演奏家を目指す主人公。音楽高校で、
 さまざまな友人と出会います。友人達と、音楽と、輝いていた日々。

 音楽に悩みながら、音楽にどっぷり漬かる日々。
 「音を合わせる」なんとも単純な、そして簡単そうに聞こえる事の難しさ。
 この「音」は、いろんな単語に置き換えられるのではないかと思うのです。

 しかし時折挟み込まれる現在の視点からの「声」は、先々が決して明るい
 ものではないことを暗示しています。

 やがて彼は思いもしなかった状況に巻き込まれていき、思いもしなかった方向へ
 進んでいく事になります。

 音楽を知らずとも全く問題なく楽しめるように描かれているのが素晴らしい。また音楽だけでは
 なく、「哲学」についても非常に判りやすく書かれおり、全面的に哲学をテーマにした作品も
 是非著してもらいたいと思うくらいです。

 根拠のない自信、傲慢さ、それらすらもすべてがキラキラと輝いていた時代。
 そして自らが犯してしまった罪。

 青春というのは人生から見ればほんの一時のもので、でもその時出会った人やものや、自分が
 犯してしまった罪やらを背負って生きていかねばならない、輝かしくも愚かで、だからこそ
 愛おしい時代なのかもしれません。

 伊藤くんの恋心が切ないです。
 

船に乗れ! I 合奏と協奏 」「船に乗れ! Ⅱ 独奏 」 「船に乗れ! Ⅲ 合奏協奏曲 」 藤谷 治 ★★★★★
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