本はごはん。
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全国の看護婦さんから寄せられた体験を元にしているようですが、
どのエピソードも残された家族の視点から再構成されているようなので
小説のカテゴリーに入れておきます
(とても上手く構成されていると思います)。
エンゼルメイクとは、亡くなった人を送り出すときに施す(主に)顔、髪の
ケアのことです。
生前の顔貌に近づけて送りだすということと、残された親族も一緒に手伝う
ことにより、その「死」を受け入れるためのひとつのステップにもなって
いるようです。
看護婦さんの体験談を元にしているためか、どのケースもとてもリアルに
感じます。とくに、結婚半年で夫が交通事故で逝ってしまい、知らせを受け
タクシーで病院に向かう途中、妻が何度も病院に確認の電話をかけてくる
シーンなどは、思わず胸が詰まります。
エンゼルメイクの大切さ、その行為によって残された家族たちが徐々に死を受け入れるさま
などが良く描かれていると思いますが、何より強く感じたのは(当たり前のことですが)
「死」というものの多様性です。
似たようなケースはあるのかもしれません。が、同じ「死」というものはなく、人の数だけ
死のパターンもあるということなんでしょう。
できればあたしは、怖くなくて痛くないのがいいなぁ。
「死化粧(エンゼルメイク) 最期の看取り」 小林 光恵 ★★★
どのエピソードも残された家族の視点から再構成されているようなので
小説のカテゴリーに入れておきます
(とても上手く構成されていると思います)。
エンゼルメイクとは、亡くなった人を送り出すときに施す(主に)顔、髪の
ケアのことです。
生前の顔貌に近づけて送りだすということと、残された親族も一緒に手伝う
ことにより、その「死」を受け入れるためのひとつのステップにもなって
いるようです。
看護婦さんの体験談を元にしているためか、どのケースもとてもリアルに
感じます。とくに、結婚半年で夫が交通事故で逝ってしまい、知らせを受け
タクシーで病院に向かう途中、妻が何度も病院に確認の電話をかけてくる
シーンなどは、思わず胸が詰まります。
エンゼルメイクの大切さ、その行為によって残された家族たちが徐々に死を受け入れるさま
などが良く描かれていると思いますが、何より強く感じたのは(当たり前のことですが)
「死」というものの多様性です。
似たようなケースはあるのかもしれません。が、同じ「死」というものはなく、人の数だけ
死のパターンもあるということなんでしょう。
できればあたしは、怖くなくて痛くないのがいいなぁ。
「死化粧(エンゼルメイク) 最期の看取り」 小林 光恵 ★★★
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ミステリですね。
ミステリファンの方にはいいのかもしれませんが、あたくし的には
もう一声…というか。
最後の短編をのぞいて、「地雷」をテーマにした連作になっています。
連作を全て見通すと、NPOの実情や現地の複雑な感情や思惑など総合的
に浮かび上がってくるものはあるのですが、それでもひとつひとつの
短編がちょっと浅いように感じてしまうのです。ひとつめの短編でそう
思ったのでそんな印象がついちゃったのかもしれませんが。
それは最後の短編(地雷モノではない)が特に顕著で、停まってしまった
エレベーターの中での殺人、というミステリのテーマとしてはいいとしても、
なんというか登場人物たちの描き込み、犯人の動機、そのあたりが何とも
物足りなく…。
いちばん良かったのはNPOの資金集めの話かなぁ。
好みの問題だと思いますすいません。
「顔のない敵」 石持 浅海 ★★
ミステリファンの方にはいいのかもしれませんが、あたくし的には
もう一声…というか。
最後の短編をのぞいて、「地雷」をテーマにした連作になっています。
連作を全て見通すと、NPOの実情や現地の複雑な感情や思惑など総合的
に浮かび上がってくるものはあるのですが、それでもひとつひとつの
短編がちょっと浅いように感じてしまうのです。ひとつめの短編でそう
思ったのでそんな印象がついちゃったのかもしれませんが。
それは最後の短編(地雷モノではない)が特に顕著で、停まってしまった
エレベーターの中での殺人、というミステリのテーマとしてはいいとしても、
なんというか登場人物たちの描き込み、犯人の動機、そのあたりが何とも
物足りなく…。
いちばん良かったのはNPOの資金集めの話かなぁ。
好みの問題だと思いますすいません。
「顔のない敵」 石持 浅海 ★★
実在した新田岩松満次郎俊純という大名、この人の先祖は源氏から続く
徳川家の先祖筋にあたるというすばらしい血筋のひとでありますが、
この人の生涯を追いながら、江戸末期の風俗や幕末の動乱などが
鮮やかに描かれています。
これほど血筋は良くても経済的にはかなり厳しくて、殿様自ら
資金繰りのために新年の挨拶回りをしたり、
殿様と言っても庄屋の家に泊まって、当主と酒を酌み交わしたり、
そこで相談事を持ち込まれて仲裁したり、
とてもたくさんのエピソードがちりばめられていて、そこからかいま見えるのは
殿様と庶民との距離感が近しい牧歌的な世情。
しかし時は動乱の幕末。後半は時代のうねりに翻弄されていきます。
江戸時代のしきたりや風習、風俗、江戸っ子気質なども描き込まれていて楽しめます。
また「招き猫」の元になった猫は豪徳寺の猫であったことや、「ずいずいずっころばし」の
由来となった儀式など、たくさんのことが詰まった良書です。
井上馨の奥さんの武子というのは、この人の娘だったんですね。
「猫大名」 神坂 次郎 ★★★★
徳川家の先祖筋にあたるというすばらしい血筋のひとでありますが、
この人の生涯を追いながら、江戸末期の風俗や幕末の動乱などが
鮮やかに描かれています。
これほど血筋は良くても経済的にはかなり厳しくて、殿様自ら
資金繰りのために新年の挨拶回りをしたり、
殿様と言っても庄屋の家に泊まって、当主と酒を酌み交わしたり、
そこで相談事を持ち込まれて仲裁したり、
とてもたくさんのエピソードがちりばめられていて、そこからかいま見えるのは
殿様と庶民との距離感が近しい牧歌的な世情。
しかし時は動乱の幕末。後半は時代のうねりに翻弄されていきます。
江戸時代のしきたりや風習、風俗、江戸っ子気質なども描き込まれていて楽しめます。
また「招き猫」の元になった猫は豪徳寺の猫であったことや、「ずいずいずっころばし」の
由来となった儀式など、たくさんのことが詰まった良書です。
井上馨の奥さんの武子というのは、この人の娘だったんですね。
「猫大名」 神坂 次郎 ★★★★
12編の短編からなる短編集ですが、全て手紙で構成されています
(届出書とかメモもあり)。
書簡形式で構成される小説というのは、なんというか他人から他人に宛て
られた手紙を覗き見しているようで、その人物の背景やら状況やらを
より想像しようとするちからが働くように思います。
どの短編も面白く、手紙や届出書などの形式を最大限に活かしたストーリィ
となっており、更に、個別の短編はもとより、「短編集として」も秀逸の
出来だと思います。
ううむ、さすがだなぁ、プロだなぁ。
「十二人の手紙」 井上 ひさし ★★★★★
(届出書とかメモもあり)。
書簡形式で構成される小説というのは、なんというか他人から他人に宛て
られた手紙を覗き見しているようで、その人物の背景やら状況やらを
より想像しようとするちからが働くように思います。
どの短編も面白く、手紙や届出書などの形式を最大限に活かしたストーリィ
となっており、更に、個別の短編はもとより、「短編集として」も秀逸の
出来だと思います。
ううむ、さすがだなぁ、プロだなぁ。
「十二人の手紙」 井上 ひさし ★★★★★
妻子持ちの男と、年下の男との間で揺れる(?)話ですが、
結局のところ彼女は、自分で自分を持て余してどうしようもなくて、
誰かに依存しようとしたり
モノに依存しようとしたり
とにかくじたばたと喘ぎ、
そうこうしているうちにますます、何が何だか判らなくなってきて
見ないふりをして逃げるまわる日常
が、とても冷静に表現されています。
なんかのめり込むように読んじゃったのはきっと
自分もそんな風な中にあるからだろうという自覚くらいはあるのです。
「なにも持たず、何物でもなく、とにかくなにもない」ということ。
「ズームーデイズ」 井上 荒野 ★★★★
短編集ですが、タイトルにもなっている「人生ベストテン」が
いいですね。
なかなか鋭い作家ですね。
マンション探しをしている女性と不動産屋の担当営業との会話、
同窓会で自分の近況をどのように話すか、短い間に4パターン考える女、
どれも「ああ、ありがちだなぁ」と思わされます。
日常との折り合いを付けていくということと、流されるということと、
紙一重なのかもしれません。
折り合いを付けていたと思っていたら、いつの間にか流されていた
ということもあるのかもしれません。
大人の女を演じていたら、いつの間にか都合のいい女になっていた
ということもあるのかもしれません。
そして気がついたら、非日常でなければ自分の姿を晒せなくなってしまっていたとか、
本当は自分が何を欲していたのかすら、「折り合いを付けたはずの日常」に埋もれて
しまっていくのかもしれません。
でも、どの短編も湿っぽくないのがいいなぁと思いました。
「人生ベストテン」 角田 光代 ★★★
いいですね。
なかなか鋭い作家ですね。
マンション探しをしている女性と不動産屋の担当営業との会話、
同窓会で自分の近況をどのように話すか、短い間に4パターン考える女、
どれも「ああ、ありがちだなぁ」と思わされます。
日常との折り合いを付けていくということと、流されるということと、
紙一重なのかもしれません。
折り合いを付けていたと思っていたら、いつの間にか流されていた
ということもあるのかもしれません。
大人の女を演じていたら、いつの間にか都合のいい女になっていた
ということもあるのかもしれません。
そして気がついたら、非日常でなければ自分の姿を晒せなくなってしまっていたとか、
本当は自分が何を欲していたのかすら、「折り合いを付けたはずの日常」に埋もれて
しまっていくのかもしれません。
でも、どの短編も湿っぽくないのがいいなぁと思いました。
「人生ベストテン」 角田 光代 ★★★
ううむ。この作家を知らなかったのは不覚であった。
テンポ良いリズムと場面転換、言葉を自在に操りくるくると展開していく
さまは、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を思い出します。
もしくは宮崎アニメ。
しかし恐らく、好き嫌いの分かれる作品(作家?)ではないかとも思います。
あたくしは好きですけどね。
後輩に恋する大学生という良くある話ですが、
こう、何というか万華鏡みたいな世界観。
浸れます。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦 ★★★★
テンポ良いリズムと場面転換、言葉を自在に操りくるくると展開していく
さまは、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を思い出します。
もしくは宮崎アニメ。
しかし恐らく、好き嫌いの分かれる作品(作家?)ではないかとも思います。
あたくしは好きですけどね。
後輩に恋する大学生という良くある話ですが、
こう、何というか万華鏡みたいな世界観。
浸れます。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦 ★★★★
あー。
短編集ですが、1作目を読んでいる途中で気がつきました。
ずいぶん前に読んだことあるわこれ…。
ものすごい凹みます。最初に、同じ本を買ってしまったことに気づいたとき
ほどではないけれども(つまり何度かしでかしている)それでもやっぱり
かなり凹みます。はぁぁ。
おかしいなぁ。本のタイトルはともかく、作家で覚えてると思ってたのに…。
まあいいや。も一度読みます。確か面白かった記憶があるから。
日常に潜む狂気というか、些細なきっかけで蓋が外れてそこから
吹き出す本人ですらもうどうしようもないもの、みたいなものが、
日常との対比で鮮やかに描かれています。
文章がとても上手いのと、どの短編もとても濃縮されているような感じがすごいですが、
やはりこの作家は女性の心理描写が秀逸なうえ、観察眼が鋭いように思います。例えば、
タイトルにもなっている1作目「崩れる」は、ダメ夫とダメ息子に最終的にキレてしまう主婦の
話ですが、確かにこのふたりはどうしようもないくらいだめだめです。主婦は夫との結婚を
「カスを掴んだ」とまで表現しています。
しかし、その「カス」と結婚したのは紛れもない自分であること。
息子が「ダメ息子」になった原因の一端は自分にもあること。
言い訳ばかり用意して、現状を打開しようとはしないこと。
そういったことは一切棚に上げており、つまりは彼女も他力本願というか他罰的というか。
「幸せになる」のではなく「幸せにしてもらう」のが当たり前という考えかたのような。
しかしこういう思考傾向はきっと多かれ少なかれ誰にもあるモノで、だから尚一層の恐怖感を
読者に与えるのだろうと思し、そこをすごくうまく突いてきたのは著者の観察眼がベースに
あるからなのではないか、と思いました。
「崩れる―結婚にまつわる八つの風景」 貫井 徳郎 ★★★★
短編集ですが、1作目を読んでいる途中で気がつきました。
ずいぶん前に読んだことあるわこれ…。
ものすごい凹みます。最初に、同じ本を買ってしまったことに気づいたとき
ほどではないけれども(つまり何度かしでかしている)それでもやっぱり
かなり凹みます。はぁぁ。
おかしいなぁ。本のタイトルはともかく、作家で覚えてると思ってたのに…。
まあいいや。も一度読みます。確か面白かった記憶があるから。
日常に潜む狂気というか、些細なきっかけで蓋が外れてそこから
吹き出す本人ですらもうどうしようもないもの、みたいなものが、
日常との対比で鮮やかに描かれています。
文章がとても上手いのと、どの短編もとても濃縮されているような感じがすごいですが、
やはりこの作家は女性の心理描写が秀逸なうえ、観察眼が鋭いように思います。例えば、
タイトルにもなっている1作目「崩れる」は、ダメ夫とダメ息子に最終的にキレてしまう主婦の
話ですが、確かにこのふたりはどうしようもないくらいだめだめです。主婦は夫との結婚を
「カスを掴んだ」とまで表現しています。
しかし、その「カス」と結婚したのは紛れもない自分であること。
息子が「ダメ息子」になった原因の一端は自分にもあること。
言い訳ばかり用意して、現状を打開しようとはしないこと。
そういったことは一切棚に上げており、つまりは彼女も他力本願というか他罰的というか。
「幸せになる」のではなく「幸せにしてもらう」のが当たり前という考えかたのような。
しかしこういう思考傾向はきっと多かれ少なかれ誰にもあるモノで、だから尚一層の恐怖感を
読者に与えるのだろうと思し、そこをすごくうまく突いてきたのは著者の観察眼がベースに
あるからなのではないか、と思いました。
「崩れる―結婚にまつわる八つの風景」 貫井 徳郎 ★★★★
不思議な短編集です。
タイトルの「78(ナナハチ)」は、レコードの回転数を示しており、
78回転のSPレコードを軸にストーリィは展開していきます。
連作短編集ですが、なんというか時折、パラレルワールドでの連作が
入るというか、とても現実的なストーリィがあるかと思うと
一方でファンタジカルなストーリィがあったりして、
なんとも独特でちょっと不思議で、何とも言い難い魅力を湛えた作品です。
「靴」は何かの暗喩なんだろうか。
「78」 吉田 篤弘 ★★★★
タイトルの「78(ナナハチ)」は、レコードの回転数を示しており、
78回転のSPレコードを軸にストーリィは展開していきます。
連作短編集ですが、なんというか時折、パラレルワールドでの連作が
入るというか、とても現実的なストーリィがあるかと思うと
一方でファンタジカルなストーリィがあったりして、
なんとも独特でちょっと不思議で、何とも言い難い魅力を湛えた作品です。
「靴」は何かの暗喩なんだろうか。
「78」 吉田 篤弘 ★★★★
「バチスタ・シリーズ」4作目、でいいのかしら。
例によって例のごとく、田口センセと白鳥のおっちゃんですが、
ここまでのシリーズの中では一番良いかも。
1作目と比肩する出来だと思います。
今回は院内不正をテーマとしていますが、相変わらず面白い。
「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行なので、二つの話が
うまいことクロスしたりしています。
いつものごとく読みやすく面白いためうっかり見逃してしまいそうになりますが、
リアルな臨床現場や医療が抱える諸問題をしっかり描写しています。
「ふつうの救急センターでは亡くなってしまう人が、ここでは死なないんです!」
と叫んだのはICU副部長代理でしたが、それはその実績を誇ってのことではなく、
生を引き留めてしまったがために派生するコストや人員不足による過重労働に
嘆き怒り疲れ果てた上での叫びでありました。
面白い、で終わらせてはいかんのだろうと思いますが、次回作も期待しています。
「ジェネラル・ルージュの凱旋(上)」「ジェネラル・ルージュの凱旋(下)」 海堂尊 ★★★★★
例によって例のごとく、田口センセと白鳥のおっちゃんですが、
ここまでのシリーズの中では一番良いかも。
1作目と比肩する出来だと思います。
今回は院内不正をテーマとしていますが、相変わらず面白い。
「ナイチンゲールの沈黙」と同時進行なので、二つの話が
うまいことクロスしたりしています。
いつものごとく読みやすく面白いためうっかり見逃してしまいそうになりますが、
リアルな臨床現場や医療が抱える諸問題をしっかり描写しています。
「ふつうの救急センターでは亡くなってしまう人が、ここでは死なないんです!」
と叫んだのはICU副部長代理でしたが、それはその実績を誇ってのことではなく、
生を引き留めてしまったがために派生するコストや人員不足による過重労働に
嘆き怒り疲れ果てた上での叫びでありました。
面白い、で終わらせてはいかんのだろうと思いますが、次回作も期待しています。
「ジェネラル・ルージュの凱旋(上)」「ジェネラル・ルージュの凱旋(下)」 海堂尊 ★★★★★
雪沼という地域を舞台にした連作集です。
ドラマティックな展開や運命的な出会いもなにもなく、淡々と市井の人々の
暮らしを穏やかに描いています。
淡々とした筆致ではありますが、情景が目に浮かぶ美しい文章ですね。
どの短編も、「モノ」に対する拘りを持った人が出てきます。
それは現代の大量生産されたモノではなく、「古いけど良いもの」を
大切にしている人たち。
20世紀的な価値観が音を立てて崩れ、壊れ続けている今、こういう感覚がまた
蘇りつつあるように思います。
連作集ではあるけれどそのつながり具合は、この小説に出てくる人たちの関わり合いと
同じくらい緩やかです。
特に何が起こるわけでもなく、言ってしまえば地味な作品集ですが、
不思議と心に残ります。
「雪沼とその周辺」 堀江 敏幸 ★★★★
ドラマティックな展開や運命的な出会いもなにもなく、淡々と市井の人々の
暮らしを穏やかに描いています。
淡々とした筆致ではありますが、情景が目に浮かぶ美しい文章ですね。
どの短編も、「モノ」に対する拘りを持った人が出てきます。
それは現代の大量生産されたモノではなく、「古いけど良いもの」を
大切にしている人たち。
20世紀的な価値観が音を立てて崩れ、壊れ続けている今、こういう感覚がまた
蘇りつつあるように思います。
連作集ではあるけれどそのつながり具合は、この小説に出てくる人たちの関わり合いと
同じくらい緩やかです。
特に何が起こるわけでもなく、言ってしまえば地味な作品集ですが、
不思議と心に残ります。
「雪沼とその周辺」 堀江 敏幸 ★★★★
短編集です。
さすがだなぁ、という感じ。
どれも長編にもできそうなのに、短編ですっきりと描ききっています。
ジャンルとしたらホラーになってしまうのかもしれませんが、怖いと言うより
哀しみを優しさでふんわり包んだ感じ。
朱川湊人っぽい感じもしないでもないですが、それをもうすこしまろやかと
いうか、ユーモラスにした感じでしょうか。
ミステリー風なものやブラックジョーク風なものなどバラエティに富んでいて
楽しめる1冊でした。
「押入れのちよ」 荻原 浩 ★★★★
さすがだなぁ、という感じ。
どれも長編にもできそうなのに、短編ですっきりと描ききっています。
ジャンルとしたらホラーになってしまうのかもしれませんが、怖いと言うより
哀しみを優しさでふんわり包んだ感じ。
朱川湊人っぽい感じもしないでもないですが、それをもうすこしまろやかと
いうか、ユーモラスにした感じでしょうか。
ミステリー風なものやブラックジョーク風なものなどバラエティに富んでいて
楽しめる1冊でした。
「押入れのちよ」 荻原 浩 ★★★★
歳を取れば、悩みだの苦労だのといったモノから解放されるものかと思えば、
いやそうあって欲しいと思っていますがなかなか現実はそうはいかない
らしい。
それよりも「年寄りならではの苦労、悩み」というものが発生してくるわけ
ですね。
この主人公のじいさんは、ある日突然、頭の上にサルが乗っていることに
気づきます。このじいさんがいつの間にか頭の上に乗っているサルの存在を
受け入れてしまったように、
歳を取ると言うことはなんともみっともなく哀しいことであるけれども、
それもこれもひっくるめて引き受けていかなければならないんだ、本人も
周りの人たちも。
ということなのかもしれません。
私もいつの日か、頭の上にサルを乗せることになるのかもしれません。
「走るジイサン」 池永 陽 ★★★
いやそうあって欲しいと思っていますがなかなか現実はそうはいかない
らしい。
それよりも「年寄りならではの苦労、悩み」というものが発生してくるわけ
ですね。
この主人公のじいさんは、ある日突然、頭の上にサルが乗っていることに
気づきます。このじいさんがいつの間にか頭の上に乗っているサルの存在を
受け入れてしまったように、
歳を取ると言うことはなんともみっともなく哀しいことであるけれども、
それもこれもひっくるめて引き受けていかなければならないんだ、本人も
周りの人たちも。
ということなのかもしれません。
私もいつの日か、頭の上にサルを乗せることになるのかもしれません。
「走るジイサン」 池永 陽 ★★★
すいません。最初に謝っときます。
(良い意味ではなく)衝撃を受けました。これは…。
設定が現実的でないことは別に良いと思います。小説ですから。
しかし薄っぺらい会話と懊悩を表現しきれていない心理描写では
非現実的な設定がどんどん浮いてしまいます。
著者が伝えたいメッセージは何となく判るような気がしないでもないですが、
でもこれは小説(の完成度)としてどうなんだろう。文章も結構「え?」と
思うところがあるし、伏線の張り方も…。
確かに映画なんかのストーリィとしてはありかもしれません。
しかし、「小説」という文章世界での表現に達していないとしか
思えず、全体的な底の浅さ感を露呈しているように思えてしまいますすいません。
「スイッチを押すとき」 山田 悠介 ★★
(良い意味ではなく)衝撃を受けました。これは…。
設定が現実的でないことは別に良いと思います。小説ですから。
しかし薄っぺらい会話と懊悩を表現しきれていない心理描写では
非現実的な設定がどんどん浮いてしまいます。
著者が伝えたいメッセージは何となく判るような気がしないでもないですが、
でもこれは小説(の完成度)としてどうなんだろう。文章も結構「え?」と
思うところがあるし、伏線の張り方も…。
確かに映画なんかのストーリィとしてはありかもしれません。
しかし、「小説」という文章世界での表現に達していないとしか
思えず、全体的な底の浅さ感を露呈しているように思えてしまいますすいません。
「スイッチを押すとき」 山田 悠介 ★★
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