bookshelf ノンフィクション/ルポ 忍者ブログ
本はごはん。
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02999070.jpg<br />  実はあたくし、「雑談」というのがとっても苦手です。
 お天気の話が終わっちゃったら、もう何を話せばいいものやら途方に暮れる。
 クライアントと打ち合わせしてる分にはいいんですが、打合せが終わって
 いきなり「じゃっ!」と席を立つわけにもいかないし、仕事に直結
 しないコミュニケーションが適度にあった方が良いことは判っているのですが。
 (しかし「雑談」そのものが仕事である場合は出来るんですよ。
  たとえば面接とか)。

 なんか、どこまで踏み込んで良いモノやら判んないんですよねぇ。
 世の中には屈託なくふわりと相手の中に入り込める人がいたりして、
 非常に羨ましく思い、同時にやっぱりあたしは他人には興味を持てない
 自己愛人間かしらと落ち込んだりもするんですが。

 この本はインタビュアーをインタビューした本ですが、さすがにプロの方々だあって、それぞれの
 スタイルを確立されております。スタイルはそれぞれですが、基本的なことはかなり共通して
 いるように思います。
 言葉遣いとか、誠実さであるとか。

 きちんと下調べをして、想定質問事項なんかもたーくさん作って、しかしインタビュー本番
 ではそれをいちどまっさらにして挑む、という方も複数いらっしゃいますが、やっぱりそれは
 入念な下調べをして、ベースをしっかり作っているから出来ることなんだろうと思います。

 言葉遣いとか相手に対する興味とかがベースにあって、その上に「傾聴」と「引き出す」
 というのふたつのテクニックが必要なんですね。コミュニケーションの本質ですが、
 当たり前だけど難しいですね。

 この本の面白いところは広義のインタビュアーを拾っているところで、つまりは心理療法の
 カウンセラーや建築家、刑事にもインタビューしていることです。
 ただ残念なことに(恐らく紙面の都合からかと思いますが)どのインタビューもちょっと
 短い気がします。面白い話が他にもたくさんあったに違いない。特にICレコーダーを
 止めてから。


聞き上手は一日にしてならず」 永江 朗 ★★★
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306451.jpg<br />  彼の生き方や人生そのものがもうドラマのようでありますが。
 俳優「松田優作」。

 初めは、元奥様が著者であるため確かに素の松田優作が描かれているの
 かもしれないけど、文章のプロではない人が描いたのだとするとちょっと…と
 躊躇しましたが、それは全く杞憂でした。ノンフィクション・ライターとして
 自立されているとは知りませんでした。

 松田優作が帰化申請のときに書いた「(帰化の)動機書」の文章が、
 胸を突きます。
 彼にここまで書かせた当時の社会背景と、それによって彼が受けたであろう
 心の傷に、ほんとうに胸が詰まります。

 役者として譲れない信念と、それと裏腹のような人間としての弱さ。
 走り抜けるように生き急いでしまった彼と、いつしか彼のペースについてこれなくなってしまった
 廻りの人たちとのあいだに出来てしまった溝に、人一倍寂しがり屋の彼が何とも思わなかったことは
 ないと思うのですが、でも彼は自分の走るペースを落とすことは出来なかったのでしょう。

 それにしても。桃井かおりはやっぱりイイオンナですね。


 「越境者 松田優作」 松田 美智子 ★★★
31951411.JPG.jpg  ホスピスと言う言葉はずいぶん定着した感がありますが、
 同時に誤解をも生んでいるように思います。
 緩和ケア病棟のルポルタージュですが、緩和ケアというよりも、医療の
 トータルケアを目指している医療機関のようです。

 トータルケアというと「がんばらない 」「あきらめない 」でおなじみの
 鎌田實医師の諏訪中央病院が有名ですが、こういった医療機関が数えるほど
 にしか存在しないことの恐怖。

 良書だと思いますがの数が少ないのは、スタンスとがアプローチとかが、
 あたくしの好みとちょっと違うということで。


ふつうの生、ふつうの死—緩和ケア病棟「花の谷」の人びと 」 土本 亜理子 ★★
31868372.JPG.jpg  この手の本、好きなんですよ。

 右ページに(いきなり)裁判官のお言葉。左ページにその事件や裁判官のお言葉
 が発せられるに至った背景などの解説が書かれていますが、見開きページ
 完結型なので、詳細な事件背景はわかりません。

 そういう意味では、北尾トロ氏の「裁判長! ここは懲役4年でどうですか」の方が
 よりこってり味わえるかもしれません。この本は、北尾氏の粘着性がよく現れて
 おり、好みの分かれるところかもしれませんが。


 「裁判官の爆笑お言葉集」 長嶺 超輝 ★★★

00603031.gif  とても質の高いルポルタージュ。安易な「分析」ものは沢山あるけど、
 こういうのが本当のルポルタージュと言うのだと思う。
 残念ながら著者は亡くなってしまっており、取材対象の重要なひとりである
 田中角栄も、もうすっかり過去の人になってしまったけど。

 対象には直接アクセスできなくても、積み上げた膨大な傍証から、
 その人となりの輪郭がくっきりと浮かび上がる。



 「淋しき越山会の女王」 児玉 隆也 ★★★★★
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Writer 【もなか】  Powered by NinjaBlog