bookshelf 『Story Seller〈3〉』 新潮社ストーリーセラー編集部 忍者ブログ
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e61bcfbd.png  基本的に、現役バリバリ作家のアンソロジー物は敬遠していたのですが、
 沢木耕太郎、有川浩、米澤穂信、さだまさしの名前につられて手に取って
 しまった。

 全体通して悪くはないです。そう、悪くはない。

 有川浩の「作家的一週間」については、冒頭すごく面白いと思ったのだけれど
 読み進めるとちょっとトーンダウン。彼(の作品)に対する期待値が知らず
 知らずのうちに上がってしまっているのかもしれない。

 個人的には米澤穂信の「満願」がとても良かった。
 60ページ強の作品ですが、詰め込みすぎず薄すぎず、また展開も見事だと
 思います。文章は言わずもがな。うまいなぁ、と思う。

 佐藤友哉(「555のコッペパン」)は初めて読みましたが、面白い作家ですね。
 独自の世界観。あの事件の犯人がモデルかなと思うんですが、背景説明が殆どないのに読めて
 しまう。何となく解決したけれど謎は残る、その余韻加減が絶妙。タイトルの意味は?

 残念なのはさだまさしの「片恋」。なんとも勿体ない。これは長編できっちり書き上げるべき
 テーマかと。中編程度の紙面では描き出しきれずむしろ、詰め込みすぎの感を与えてしまうと思う。
 途中の主人公の心情表現でも、ちょっとくどく感じるところも。

 自分の関わっているメディアというものに対して抱えてしまった不信感や不安感、
 悪意の不在と愛の不在、このあたりはもっと整理してかつ深く展開するべき要素なのではないか
 と思うし、さだまさしならこのあたりも描ききるだろうと思うので。

 ただ、ストーカーに対してもこういう描き方になるところが何とも「さだまさし」らしいなぁ、
 と思います。この人って、この世に根っからの、本当の「悪人」はいないと、心から信じて
 るんじゃないのかな。

 あ、湊かなえ(「楽園」)って思ってたほど悪くないんだな、と思いました。
 (すいません何故か勝手な先入観を持ってました)。


Story Seller〈3〉」 新潮社ストーリーセラー編集部 ★★★
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