bookshelf 『人は、永遠に輝く星にはなれない』 山田宗樹 忍者ブログ
本はごはん。
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b3617887.png  主人公は総合病院に勤務する医療ソーシャルワーカー。
 彼女の元に、様々な人たちが相談に訪れます。
 
 夫の事業が上手くいかない中で難病に罹ってしまった子供を持つ母親。
 子供の東大受験を控えて夫が倒れてしまい、夫を療養施設に委ねることしか
 頭にない妻、
 身体の自由を奪われて自暴自棄になる男性、
 誠実に生きてきたのに未婚の身で子宮体ガンに罹患してしまった
 キャリア女性。
 
 そして。
 老齢に達し、家族からも戦友からもひとり取り残されてしまった孤独な老人。
 
 そんな様々な事情を聴き続ける彼女のシンプルでちょっと面倒なプライベート。
 
 生物である以上等しく逃れることのできない「死」というもの。
 でもそれと対峙するタイミングも対峙の仕方も周りの人たちの反応もそれぞれで。
 
 以下ネタバレになりますが。
 孤独な老人が迎えた最期のときに還っていった先が、戦争のそのときであったということが
 なんとも切ない。
  
 そしてその死の前で、自分達の無力さに打ちひしがれる残された人びと。
 
 でもそうして人は生きていくしかないのかもしれない。
 
 「現代」の抱える病巣を鮮やかに、そして悲しく描き出している佳作です。
 自分の最期に思いを馳せずにはいられなくなります。
    
  
人は、永遠に輝く星にはなれない」 山田 宗樹★★★★
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