bookshelf 『加害者家族』 鈴木伸元 忍者ブログ
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c5f46573.png  家族が事件の加害者になってしまい、引っ越しや転職、そして悪質な嫌がらせ
 などを受けなければならなくなってしまった、残された家族の悲劇を紹介
 しています。

 マスコミは関係者を追いかけ回した挙げ句に煽るような報道ばかりするし
 (それは被害者の関係者であっても同じく)、最近はネットに個人情報が
 流れてしまいますから、引っ越し転職そして子供が虐めにあうなど、
 確かにそれはもう「迫害」に近いのじゃないかとも思います。

 加害者の家族と言ったってたとえば兄弟や親の親戚までそんな目に遭わされ
 るのはどうかとも思う。のだけれど。

 この本は加害者家族の受けた被害面を主にクローズアップしているので、
 そこだけみていると「何もそこまで…」とは思うものの、少年犯罪を
 犯した子の親は、さすがに責任があるんじゃないかとも思うのだが。

 実際この本にも書かれているけれど、殺人を犯してしまった未成年の子供の父親、世間から
 叩かれまくって「辛い」。しかし被害者の名前を「憶えてない」。
 それは自分の子育てについて自省もしていなければ、被害者およびその遺族に対しても何にも
 考えてなかったってことじゃないんでしょうか。

 そういう親も実在する以上、ある程度「親」は叩かれる事も必要なんじゃないかと逆に
 思えてしまいます(あくまで「親」であって、親以外の関係者まで追い詰めるのはどうかと
 おもうけど)。

 また、ネットの暴走の危険性を指摘していますが、これはネットだけの問題ではなくて
 「暴走するネット」に負けじと「更に煽るマスコミ」という構図ができあがっているように
 感じます。

 ネットについてはこの一面だけで語る事は出来ず、むしろ「教育」の方が必要なのではないかと、
 それも「ネット特有」の教育ではなくて、「当たり前の教育」ができてないからこんな風に
 なるんじゃないかと思うのですが。ネットは別に特別な場所ではなくて、基本は日常生活の
 延長線上にあるものだと思うのです。

 しかし前述のように、被害者の名前すら覚えていない親もいるようですし、嫌がらせ電話を
 かけてくるのは「30~40代の男性が中心」だそうで、今の日本人の民度ってこんなもんなのかと、
 ちょっと暗澹たる気持ちになります。

 新書だから仕方ないのかもしれませんが、もうちょっと深掘りして欲しかった。
 加害者家族そのものの状況もそうだし、少し紹介されている日米の相違、日本の伝統的社会意識
 からのアプローチなど、そのあたりを総合的に深める事によって「あるべき姿」を模索するしか
 ないんじゃないでしょうか。

  
加害者家族」 鈴木 伸元 ★★★
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