bookshelf 『利休にたずねよ』 山本兼一 忍者ブログ
本はごはん。
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fdba6ee9.png  直木賞受賞作ですよね確か。直木賞は芥川賞よりも(私的に)はずれが
 少ないと感じているので読んでみます。

 利休が切腹を命じられた日から、過去に遡って様々な人の目を通して、
 利休という人を描き出していく手法で、この構成はかなり好みなのですが。

 ひとりひとりに割かれているページは30ページ程度なので読みやすいと
 いえば読みやすい。そして古い言葉や茶の道の専門用語をふんだんに使って
 いるんですけどもなんだか厚みを感じないのも私だけかしら。
 なんというかもうすこし深みを…と思ってしまうのです。

 「美」というもの、俗世の「欲」というもの、「支配」という(感情面での)
 システムなど、感じるものはないでもないのですが、少し冗長というか、
 エピソードが多すぎて拡散気味な感じがするんですよね…。
      
 なんというか、利休っていうのはすごい人だってことを「知っている」前提で書かれている
 というか、この本読んでも利休のなにがすごいのかよく判らない。いや、美意識がすごい、
 とは繰り返し何度も書かれているのだけれど、その「美意識」の、どこがどんなふうに
 「突き抜けている」のか表現し切れてないように感じるのです。

 以下ねたバレを含みますが、
 「そのとき」死に切れなかった利休は結局、最後のときですら香合を壊すこともできない。
 
 彼に自分より愛している人の存在があることに気づきながら、結局最後までそのことを質すこと
 のできなかった妻が、躊躇なく香合を叩き壊す。
 
 この対比が男と女というものを鮮やかに描き出していて面白い。

 ただ、全般的に私はあまりピンと来なかったというか、悪くはないんですけどね…。
 超個人的感想として、井上荒野の「ベーコン」と非常に似た感覚。井上荒野は好きな作家
 なんだけど、なぜベーコンで直木賞なんだ、という感じ。
 あ、尖ってないから直木賞なのかな。
 
  
利休にたずねよ」 山本 兼一 ★★★
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