bookshelf 『海炭市叙景』 佐藤泰志 忍者ブログ
本はごはん。
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5ee5ef7b.png  ある地方都市を舞台にした連作短編集です。

 その町で暮らす様々な人たち、

 たとえば妻子を連れて故郷へ帰ってきた男、
 たとえば親の燃料店を継いだ、家庭に問題を抱える店主、
 たとえば職安の職員など、

 市井の人々の日常から、その人の人生を切り取っています。

 1編1編はとても短いのですが、とても鮮やかに様々な人たち年代の人たちの
 人生が鮮やかに描き出されているところが見事です。

 この本に収められていつるのはこの町の冬から春の季節で、もうすぐ夏、というところ
 で終わっているのですが、解説を読むと本当はこのあと夏から秋へと物語は続く予定で
 あったものが、作者の自死によりここで終わっているようです。

 いろんな人生があって、
 いろんな痛みや怒りをかかえて、
 勘違いした幸せに逃げてるひとや、
 自分の過ちに気付かないひとなど、
 それこそ様々な人生でありますが、

 そのどれに対しても作者の目は等分であるようにおもいます。

 個人的には1編目が、まるで
 死を予感していながらもそれを受け容れるしかないかのような、
 そしてその前ではひとは、なんとも無力なものでしかないとでも言っているかのようで、
 静かだけれどとても強い印象を受けました。
  

海炭市叙景」 佐藤 泰志 ★★★★
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