bookshelf 『崩れる―結婚にまつわる八つの風景』 貫井 徳郎 忍者ブログ
本はごはん。
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518J0B5CS5L.jpg  あー。
 短編集ですが、1作目を読んでいる途中で気がつきました。
 ずいぶん前に読んだことあるわこれ…。

 ものすごい凹みます。最初に、同じ本を買ってしまったことに気づいたとき
 ほどではないけれども(つまり何度かしでかしている)それでもやっぱり
 かなり凹みます。はぁぁ。
 おかしいなぁ。本のタイトルはともかく、作家で覚えてると思ってたのに…。
 まあいいや。も一度読みます。確か面白かった記憶があるから。
 
 日常に潜む狂気というか、些細なきっかけで蓋が外れてそこから
 吹き出す本人ですらもうどうしようもないもの、みたいなものが、
 日常との対比で鮮やかに描かれています。

 文章がとても上手いのと、どの短編もとても濃縮されているような感じがすごいですが、
 やはりこの作家は女性の心理描写が秀逸なうえ、観察眼が鋭いように思います。例えば、

 タイトルにもなっている1作目「崩れる」は、ダメ夫とダメ息子に最終的にキレてしまう主婦の
 話ですが、確かにこのふたりはどうしようもないくらいだめだめです。主婦は夫との結婚を
 「カスを掴んだ」とまで表現しています。

 しかし、その「カス」と結婚したのは紛れもない自分であること。
 息子が「ダメ息子」になった原因の一端は自分にもあること。
 言い訳ばかり用意して、現状を打開しようとはしないこと。

 そういったことは一切棚に上げており、つまりは彼女も他力本願というか他罰的というか。
 「幸せになる」のではなく「幸せにしてもらう」のが当たり前という考えかたのような。 

 しかしこういう思考傾向はきっと多かれ少なかれ誰にもあるモノで、だから尚一層の恐怖感を
 読者に与えるのだろうと思し、そこをすごくうまく突いてきたのは著者の観察眼がベースに
 あるからなのではないか、と思いました。


崩れる―結婚にまつわる八つの風景」 貫井 徳郎 ★★★★
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