bookshelf 『蝶』 皆川博子 忍者ブログ
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9784167440084.jpg  この作家はもっと注目されて然るべきなのではないか。

 短編集です。
 どの作品も、一枚の薄い薄い紗を挟んで見る世界のような、ちょっと幻惑感を
 覚える世界の中で、強烈な「寄る辺の無さ」を鮮やかに描き出しています。

 舞台がみな戦前から戦後にかけてであるためか、すこし沈鬱であったり
 どこか退廃的な妖艶さを漂わせていたりするなかで、一切の感傷を排した
 「渇いた目」で淡々と語られていくのですが、もしかしてこの短編集は
 作家自身の総括なのだろうか、と、ちらりと思う。

 私が感じた印象は、

 江戸川乱歩の空気感を谷崎潤一郎の文章で表現したような、
 または太宰治から女々しさを排除したような、
 もしくは朱川湊人の世界から感傷的な部分を一切排除したような、

 そんな感じ。

 どの短編も高い完成度を誇り、そして見事としか言いようのない文章。
 とくに冒頭、導入部の文章は完璧というべきもの。
 妖艶かつ幻想的な純文学、とでも言えばいいのだろうか。

 この作家の作品は絶版が多いなぁ…。発掘の旅に出ます。


」 皆川 博子 ★★★★★
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