bookshelf 『失われた町』 三崎亜記 忍者ブログ
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b6195a60c9c1e437f5415fd59207712ae3212ba6_1.jpg  この本は評価が分かれるかもしれませんね。

 SFのようであり、ファンタジーのようでもあり、しかしその
 「どちらでもない」のだと思います。

 一つの町が消滅してしまう。そこに住む人々が消滅してしまう。
 それに関わる人たちがそれぞれの立場で描かれています。

 この「町の消滅」という設定自体かなり突拍子がないので、この設定自体を
 受け入れ難い人はこの小説をあまり評価しないかもしれません。

 しかし「町の消滅」というのはつまり、人生に起こりうる、直面せざるを
 得ない「理不尽」なものを現しているのであり、そのときどうするか、
 どんな風に生きるのか、

 生まれながらに背負わされた重荷や、ある日突然降りかかってくること、それぞれに対し
 どう対峙していくのか、ということが物語られているのだと思います。

 構成が秀逸です。恐らく主人公の女性を中心に展開すれば、もっと判り易く描けると思い
 ますが、これ以上いじるとしつこくなる直前で最高の構成がなされています。

 最終章に「(消滅せずに)残る人も町が決める」というフレーズがありますが、これは「運命」
 という言葉にそのまんま置き換えられるのではないかと。

 それぞれがどう「運命」と対峙していくのか、立ち向かうのか逃げるのか委ねるのか。
 見なかったことにするのか。

 そして人生に何を見いだすのか。

 「バスジャック」も面白かったですが、それ以上。
 でも最初にも書きましたが、好みの別れる作家かもしれません。


失われた町」 三崎 亜記 ★★★★★
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