bookshelf 『完全版 佐川君からの手紙』 唐十郎 忍者ブログ
本はごはん。
[253]  [252]  [251]  [250]  [249]  [248]  [247]  [246]  [245]  [244]  [243
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

40957.jpg  タイトルの「佐川君」とは、1981年に留学先のパリで、同じく留学して
 いた女性を殺して食べちゃったという、まあすごいことをした人です。
 (Wiki

 で、このタイトルからすると、佐川君から手紙を貰って、やりとりをする
 うちに、かすかに真実の姿が見えてきて…みたいなドキュメントかなぁと
 思ったりするのですが、思いっきり小説です。

 著者がやっぱり舞台の人だけあるのか、小説と言うより戯曲的な印象です。
 佐川君の事件が引き金になって、著者が抱える原風景や原体験みたいな
 ものに収斂していき、やがてどっぷり虚構の世界になっていきますが、
 その描写はとてもシュールな印象です。

 ただ、何と言えばいいのか、「K・オハラ」という女性をはじめ、佐川君がその犯行に至る
 のに(無意識のうちに、もしくは結果として)手を貸してしまった人たちが(虚構の世界で)
 登場するのは、やはりその犯行に至った「意味」とか「理由」というものを、著者も無意識の
 うちに探しているのでしょうか。

 ただ同時にこの事件は、著者のごく個人的なこと(=彼の祖母)に収斂していき、そういう
 意味では「佐川君」そのものも「この事件」も、著者に取っては「刺激物」でしかなかった
 ような、そんな印象です。

 芥川賞か。うーん…。


完全版 佐川君からの手紙」 唐十郎 ★★
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
bar code.
search.
※ 忍者ブログ ※ [PR]
 ※
Writer 【もなか】  Powered by NinjaBlog