bookshelf 『恋する組長』 笹本稜平 忍者ブログ
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9941290b.png  この作家の作品は初めて読みましたが、とても文章が上手い作家ですね。
 真っ当で読みやすい文章というのは、実は結構難しいものであると思う。

 探偵物の連作ですが、タイトルにもあるとおりそういう組織の方々と
 密接に関係しながら、いろんな事件…というよりトラブルに巻き込まれて
 いきます。
 この探偵が決してカッコイイわけではないところが魅力のひとつ。

 そしてこの探偵をとりまく人たちの人物描写がよくできていて、例えば
 最初の話では単なる嫌なヤツだった刑事の全く違う一面を、続く話の
 なかで無理のない構成で展開していたり、人間の多面性みたいなものが
 上手く現れています。

 どの短編も結末はもちろん、パターンも全く違っていてとても楽しめます。
 1点だけ挙げるとしたら、主人公である探偵の背景や原点心理みたいなものを、チラ見せでも
 いいから出して欲しかったかも。

 でもエンターテインメント小説としてかなり上質な作品だと思います。


恋する組長」 笹本 稜平 ★★★
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