bookshelf 『水銀灯が消えるまで』 東直子 忍者ブログ
本はごはん。
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978-4-08-746539-6.jpg  「とりつくしま」も良かったですが、この作品もなかなか。
 ただ、賛否の分かれるところかもしれません。

 基本的に詩的な展開で、設定やストーリィがすべてきちんと辻褄が合っている
 ものが好きなひとは、ちょっと消化不良に思うかもしれません。

 ひとつの遊園地を舞台に、自分の居場所を作りきれない人たちが迷い込んで
 きますが、この著者の紡ぎ出す世界は、なにかがすこし歪んでいて、
 あるかなしかの微妙な違和感、なんとなくしっくり来ない、

 それなのになんとなく落ち着いてしまうようなそんな雰囲気で、
 不安に安住する心地よさみたいで、

 そしてそれは、読みやすいのだけれどなにかが引っかかるように組み立て
 られている文章に如実に表れていると思います。

 著者が歌人だからだろうかこの文章は。
 まあ文章はあくまで表現だから、そう表現させる何かがあるのだろうけれど。

 面白い作家です。

 あ、「あとがき」が、きらきらした小品にまで昇華されています。
 ほんとに美しい。
 ため息が出るほど美しい。

 (文庫化にあたり改題されたようです。単行本時のタイトルは「長崎くんの指」)


水銀灯が消えるまで」 東 直子 ★★★★
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