bookshelf 『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』 霞っ子クラブ 忍者ブログ
本はごはん。
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059651.jpg  またしても裁判傍聴記です。

 ここに取り上げられているのは、歯科医の息子が妹を殺してバラバラにして
 しまった事件とか、渋谷の「セレブ妻」が夫を殺してバラバラにした事件、
 何人かの女性を監禁して捕まったイケメンの「監禁王子」事件など、
 メジャー級の事件が並んでいます。

 これだけメジャー級の事件になると、新聞社がネットで「裁判傍聴記録」を
 詳細かつ(ほぼ)リアルタイムに載せていたりするので、内容については
 ある程度知っていますが、

 新聞社の裁判傍聴記録が、その属性の特徴上、客観的「報道」であるのに
 対し、この本はある意味等身大というか、「被告席に着くまでの動作が
 30代とは思えないほどノロノロだった」とか「ボンヤリした鑑定医」など、
 報道では削除されてしまいがちな情報も記載されているため、情景が
 想像しやすい。

 一方で、メジャー級の事件、つまりは数度の公判、論告求刑、判決と、10回前後にわたる
 法廷を20ページ前後に纏めているため、よく言えばコンパクトでありますが、捨象されて
 いる部分もかなりあります。

 それにしても。
 裁判員制度問題が浮上してからずっと疑問に思っていることがふたつ。

 ひとつは、なぜ裁判員が量刑も決定するのか、ということ。有罪か無罪かを決めるのは
 まあいいとして、量刑についても裁判員が決めるとなると、同様の事件で量刑がかなり
 違ってしまう、という事態が出てきちゃうんじゃないのかしら。

 そしてふたつめが「公判前整理手続き」。
 これは公判前に裁判官と検察官、弁護士が、「争点」や「証人、証拠」について「合意」を
 とる手続きだとおもったんですが(事前にこの辺を整理しておくとによって、裁判の迅速化が
 図れる)、

 この「公判前整理手続き」には裁判員は一切タッチしない。しかしこれ、穿った見方をすると、
 裁判員抜きの場で、「公判のストーリー、シナリオ」みたいなものが作られてしまう、という
 ことはないのかしら。

 そのあたりまで踏み込んだ本はないのかな。


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