bookshelf 『しあわせのねだん』 角田光代 忍者ブログ
本はごはん。
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105825.jpg.jpg  この作家は小説よりエッセイが秀逸だと思ったのだけど、よく考えてみると
 まだ小説は2冊、エッセイはこの作品がはじめてなので、そう断言する
 資格はあたくしにはないのであった。

 とにかく買い物というか、ものの値段にまつわるエッセイ、というより
 「考察」にあたくしには思えたのだけれども、どーしてこれが面白い。

 特に、「携帯電話」に関する考察は秀逸だと思います。
 あと「男値段」と「女値段」とか、「母親との温泉旅行」とか。

 「バレンタインデー」に関する考察は、まったくもって以前から自分も
 そう思っていたことを簡潔に歯切れよく「すぱん」と言い切ってくれて
 いてなんとも気持ちがいい。

 それにしても、考え方の傾向が似ているというか反応する、感じるツボみたいなものが近い
 のは同年代だからかなぁと思いながら読み進め、「あとがき」を読むと、育ち方がまったく一緒
 で驚いた。

 私の親も決して「お金がない」と言わなかった人で、初めて「お金がないからだめ」と
 言われた確か私が高校生だったとき、私はまったくその言葉を信じなかったのであった。

 おかげで私も著者の言うところの「お金とは水道の蛇口のようなもので、断水などで出の悪く
 なることはあっても、地下水脈と蛇口は繋がっていて、いついかなるときも水は出続ける」
 というゆがんだ金銭感覚を持っていて、

 もちろん今はそんなことないと頭では判っているものの、どーしてもそういう「感覚」が
 すっぽり身体を覆っているのであります。

 つまりたとえば、
 「今自分は窮状にあるのにそれを正しく窮状として認識できていない自分に対する不安」
 みたいなややこしい不安を抱くことになるのです。

 20代のお金の使い方がその人の30代を決める、と著者は言っていますが、自分を振り返っても
 たしかにそうなのかもしれません。


しあわせのねだん」 角田 光代 ★★★
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