bookshelf 『ミツコと七人の子供たち』 シュミット村木眞寿美 忍者ブログ
本はごはん。
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32202191.jpg  クーデンホーフ=カレルギー光子 を初めて知ったのは小学生の頃、
 彼女の生涯を描いた、確か大和和紀のコミックだったと思う。

 今でもストーリィはもちろん、場面場面の画まではっきりと覚えている
 くらいだから、当時の私にとても強い印象を与えたのだと思う。

 基本的に恋愛ストーリィで(少女向けコミックだからそりゃそうなんで
 しょう)、婚家に嫁として認めてもらえず苦労もするんだけど、
 社交界の花形になっていくというある種のシンデレラストーリィで、
 
 しかし伯爵が死んでしまった後、一人で領地を切り盛りする自立した女性へ
 成長するという、まあ女性のある種の理想の生き方、みたいな描かれ方で
 あったように思う。

 この本では、「イメージ」と「(判明している)事実」の違いがきちんと指摘されています。
 確かにこの時代(明治)、異人との恋愛というのはちょっと考えにくいかも。
 しかしそれでも、伯爵に大事にされてそれなりに幸せな時期が確かにあったように思う。
 伯爵の心の内に住む人が別に居ようと。

 思うに彼女のいちばんの苦難は、子供たちとの不仲、子供たちとの間にできた溝だったんじゃ
 ないかと思う。確かに彼女の子供たちは、文学者として立ったり、現EU構想の基となる
 理念を提唱したひとであったりみんな優秀なんだけど、

 母としての彼女は幸せだったのかどうか。
 そして子供たちは子供たちで、それぞれ辛酸をなめる。

 しかし自分や家族、家柄に傷がつきそうなことは一切書き残さず(伯爵が数十年にわたって
 書き続けた日記も、彼が死んでわずか数時間のうちに焼き捨てている)、文字通り地獄まで
 持って行くかのような覚悟はさすが明治女の気質なのか、薄っぺらい感情をブログに書き殴って
 ぺらぺらな自尊心を何とか保っている自分の精神的未熟さを改めて思い知る。


ミツコと七人の子供たち」 シュミット村木 眞寿美 ★★★
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