bookshelf 『余命半年 満ち足りた人生の終わり方』 大津秀一 忍者ブログ
本はごはん。
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4797352368m.jpg  たとえばある日突然死んでしまうのと、「あと半年の命です」と余命宣告
 されるのとではどちらがいいんでしょうか。その人の性格にもよると
 思いますが、私は余命宣告をしてほしいクチであります。精神的に耐えられる
 かどうか自信はありませんが。

 この本は、緩和ケア専門医による正しい緩和ケアの紹介です。

 著者も繰り返し訴えていますが、「緩和ケアに対する誤解」がまだ強いようで
 すね。
 何を隠そうあたくしも、さすがに緩和ケアが寿命を縮めることはないとは
 知っていましたが最後の手段、「モルヒネで楽に死ねる」のではないかと
 思いこんでおりました。

 医療現場で正しく投与されるモルヒネでは死なない(死ねない)そうですよ。
 (そりゃ静注でもすりゃ別でしょうが、それでは犯罪になってしまうでしょうし)。

 しかし「麻薬(モルヒネ)を使うなんて言語道断!」と、患者が苦しがっていても投与して
 くれない医療従事者すらいるということですから、一般的な正しい認識度はやっぱり
 まだまだなんでしょう。

 そして「緩和ケア」ですから当然その先には避けられない「死」があるわけで、そういう
 意味でもこの本は単に緩和ケアの紹介だけではなく、
 「さてあたなはそのときどうしますか?」という命題をそれぞれに突きつけてもいます。

 とても印象深かった映画「死ぬまでにしたい10のこと」(どうでもいいことですがこの映画は、
 原題である「my life without me」のほうがしっくりきます)の主人公のアンは、まだ20代前半、
 子供ふたりもまだとても小さいうちにガンで生涯を終えますが、そのラストでアンが、

 「失った人生に未練はない」

 と見事に言い切ります。

 果たしてそのように毅然として自分の人生の終幕を迎えることができるのかどうか。
 それには著者の言うとおり、目をそらし避け続けるのではなく、
 時々はきちんと考え、大切な人とその考えを共有しておくことが必要なのかもしれません。

 そしてその前提として、正しい知識が必要なのは言うまでもないことでしょう。
 ドラマのようなきれいで静かな死など、殆ど望めないということも含めて。


余命半年 満ち足りた人生の終わり方」 大津 秀一 ★★★★
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