bookshelf 『救急精神病棟』 野村進 忍者ブログ
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31856098.jpg  当時、日本で唯一の救急精神病棟(千葉)での3年間の取材を元に書かれて
 います。
 
 人間、「知らない、判らない」もの(こと)に対しては、根源的な
 恐怖を感じるものなのではないかと思います。精神病にしてもしかり。

 昨日までふつうだったのに、いきなり町中で奇声をを発したり
 ガラスをがんがん壊し始めたら、それは驚くと同時に「恐怖」に
 包まれてしまうのではないかと思うのです。

 精神病そのものおよび、その治療の実態がきちんと伝わってこない、
 実際それは「入院」という名のもと、薬漬けにして長期間隔離するだけで
 あった日本の精神医療の歴史に負うところが大きいわけですが、

 本書を初めとし、精神病のメカニズムやその治癒率の向上など、現在では解明、改善されて
 きているという情報が少なからずあるなかで、それでも単に
 「精神病患者」=「怖い」=「隔離」、あるいは、「電気ショック」=「全て悪」という
 思考に走るのだとすればそれは単なる「無知」なるが故と言われても仕方ない、そういう
 社会への転換期にあるように思います(ちなみに「電気ショック」という言い方は今は
 しないそうです)。

 同時に、この千葉の救急センターでは、確固たる理念の元、彼らの信じる医療を実践し、
 そして成果も上げていますが、一方で古色蒼然たる精神病院も少なからずあるのだろうと
 思われ、「全般的な質の底上げ」が必須であることは言うまでもないことですが。

 相変わらず綿密な取材を重ねた上で緻密に構成されており、安心して読めます。
 「精神病患者のほうが恐怖に支配されている」というのは驚きました。
 
 「文庫本のためのまえがき」に書かれているエピソードがなんとも印象的です。


救急精神病棟/a>」 野村 進 ★★★★
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