bookshelf 『右か、左か ―心に残る物語 日本文学秀作選』 沢木耕太郎 忍者ブログ
本はごはん。
[375]  [374]  [373]  [372]  [371]  [370]  [369]  [368]  [367]  [366]  [365
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

9784167209162.jpg  最近の作品ばかりでもなく、所謂「名作」ばかりでもなく、
 アンソロジーとしてとてもバランスがとれているように思います。

 小川洋子(既読)はヨーロッパで珍道中の末愛すべき大勘違いを放ち、

 開高健は、よくぞまあここまで書けるものだと感心するほど、ワインの
 味について 1ページ以上にわたって語り続けそしてワインから当然の
 ように過去の女性を想起し、

 澁澤龍彦は日本の風潮に正しく檄を飛ばしながらヒロポンを打ちまくり
 (そして彼が嘆く「日本の風潮」は現在も正しくかつ強力に引き継がれて
  しまっている)、

 小学生の頃に読みあさった江戸川乱歩は「そうそうそう! この雰囲気!
 これよこれ!」と読書の原風景を思い出させてくれました。

 更に言うと、芥川龍之介の「魔術」、安部昭の「天使が見たもの」、向田邦子の「ダウト」など、
 どれも特に奇をてらったはなしではなくむしろ良くある話であるのに、なんとも完成度の高い
 作品になっていて、さすがとしか言いようがない。

 とくに「天使が見たもの」は、雑然とした世の中にひっそりと息づく静かな哀しみと美しさが
 独特の読後感を残す良作であると思います。


右か、左か ―心に残る物語 日本文学秀作選」 沢木 耕太郎 ★★★★
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
bar code.
search.
※ 忍者ブログ ※ [PR]
 ※
Writer 【もなか】  Powered by NinjaBlog