bookshelf 『真夏の死』 三島由紀夫 忍者ブログ
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51351BW8KXL._SX230_.jpg  著者自身による自薦短編集の2作目です。

 やっぱりこの作品集は表題にもなっている「真夏の死」でしょう。
 我が子をなくしたという事実の受け止め方や消化の仕方の、男親と女親での
 違いを見事に描ききっているように思います。

 死を受け入れるまでには心理的にいくつかのプロセス
 ー「否認」「怒り」「取引」「抑鬱」など、そして最後に「受容」ー
 を経過すると言われていますが、それが日常のなかでとても上手く心理描写
 されています。
 
 この作品のラスト、それは「受容」を表現しているものと思ったのですが
 著者の解説によるとどうもそれだけではないようです。

 つまり「受容」とは即ち「新たなる宿命の待望」であって、裏を返せば、
 「待望」できるようになることが「受容」できたということの証なのかもしれません。

 結局、人間は「宿命」を背負ってしか生きられない。
 というのが、この解説を書きながら自分の死を数ヶ月後に定めた三島の、ひとつの結論
 なのかもしれません。


真夏の死」 三島 由紀夫 ★★★★
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