bookshelf 『花ざかりの森・憂国』 三島由紀夫 忍者ブログ
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01229194.jpg  自選短編集1作目です。

 タイトルにもなっている「花ざかりの森」は、もともと三島には修辞が多い
 傾向にあると思うのですが(それはもちろん美しい日本語であるのですが)、
 この作品はそれを顕著に感じます。正直なところ、すこしいじりすぎの
 ような、練り回しすぎのような気もするんですが…。

 そしてやはり「憂国」ですが、これって三島のファンタジーなんじゃないか
 と思ったら著者解説を読むとやっぱりそうなんですね。自身の手で映像化も
 したようですが、文章表現以上の世界を映像で表現できるとは思えないほど、
 この作品の完成度は高いと思います。

 1点、夫の自決の意志をしっかりと受け止めた妻に対して夫は、「今まで自分が施してきた
 教育の成果に満足」し、「妻のその反応が愛ゆえであると思うほど馬鹿な良人ではかった」
 とあります。まったくこういうところが三島の一筋縄ではいかないところなんでしょうか。

 「海と夕焼け」については著者自身が語っているように、彼のテーマが凝縮しているのでしょう。
 「信じるものが起こらない現実」の意味を考え続けるような。

 個人的には「女方」が文学作品として、また三島の美意識、言葉に対する感覚みたいなものが
 「歌舞伎」という舞台とよく融合していてすばらしいと思います。
  
 「詩と少年」の解説で自ら書いていることが非常に興味深いです。


 「花ざかりの森・憂国」 三島 由紀夫 ★★★★★
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