本はごはん。
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いませんが、事件の概要から裁判、死刑確定日や執行日などがきちんとまとめ
られており、また拘置所関係者や拘置所(死刑執行場所)を視察した政治家へ
のインタビュー、逆転無罪となった死刑囚のその後など幅広く取りあげられて
おり、死刑囚をめぐる全般的な入門書としてはいいんじゃないでしょうか。
ただ個人的には、逆転無罪となった死刑囚のその後を除いて知ってること
ばかりだったのと、なんかこの本は「死刑廃止論者」が書いているのかしらと
思われるフシがあり、
この広くて浅い著述で「死刑廃止か否か」というのはちょっと危険なような
気がします。
そういう意味でも「死刑の理由」のほうがぜんぜん上かな、というのが正直なところ。
「死刑囚最後の一時間」 別冊宝島編集部 ★★
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お給料(貯金)で、体裁は「語学留学」、実態は「自分探し」。
ニューヨーク(じゃなくてもいいんですがとにかく海外)に行けば本当の
自分だの、新しい自分だのに出会えるという「幻想」を抱いて。
その頃から言われていたことですが、留学しても結局、語学学校でも
コミュニティでも日本人同士で固まってしまって英語はなかなか上達しないわ
文化も吸収できないわで、目的意識が希薄(=行けば何とかなる)だと結局の
ところただずるずると月日が経ってしまう。
「海外に来れば【何か】が見つかると思ったんだけど…」
みたいなケースは少なくなかったのかも知れません。
はっきりいってこの著者も、何となくニューヨークに遊びにいってなんとなく居心地が良くて
日本に帰る決断も出来ず、恋人がマフィアだと知りながらつきあい続け、挙げ句の果てに刑務所
です。いくら目的意識が薄かったからと言っても、その代償が「刑務所行き」というのは
高くつきましたね。
刑務所と言っても、日本では考えられない自由度と日本では非常識なまでのいい加減さを
併せ持ち、様々な人種の坩堝かつ底辺での2年間のレポートは、非常に軽い文体で書かれており
とても読みやすく、また様々なキャラクターが登場して面白いんですが。
…で? と思ってしまう。
著者の総括がない。いや総括めいたものはあるんですが、めためた軽い、一般論でしかない
(ようにみえる)。
惜しいなぁ。
「プリズン・ガール ―アメリカ女子刑務所での22か月」 有村 朋美 ★★
体裁を借りた人間関係論だと思いました。
戦後まもなく自殺した作家の、自殺に至るまでの手記はなかなか圧巻です。
これ自体がかなり面白い。
この作家を自殺に追い込んだ「巨大な悪意」の謎を解くことになって
しまった国文学者も、その作家の人生とシンクロするように
「見えない悪意」に翻弄されていきます。
なかなか構成もよく練られているし、ぐいぐい読ませるんですが、後半、
二転三転していく過程で「これはちょっと説得力に欠けるなぁ」とか
「これはそんな簡単に信じないよね」とか、ちょっと強引なところがあって
すこし残念な感じ。悪くないんですけどね。
「追憶のかけら」 貫井 徳郎 ★★★
考えさせられる良書だと思います。
インフォームドコンセントの実例が示されていますが、
「緊急事態で一刻を争う」
「(さっきまで元気だったのに)突如としてそのような状況(事故とか)に
陥ったことに対する動揺」
「患者(および家族)は医学的には素人」
そのような状況に於いて、インフォームドコンセントはどこまで機能しうるのか。
一刻を争う場面で、医学的素人に対して全ての起こり得る事象を説明しきる
ことができて、
また医学的素人がそのような動揺のなかで正しい判断を下せるものなのか。
(いや、パターナリズム万能とも思っていませんが)。
まあそのような緊急事態での機能性はともかく、インフォームドコンセント自体は良い
傾向だと思うのですが、本来は患者の自己決定権を尊重する目的で始まったこの
インフォームドコンセントは、なんでも訴えられてしまう昨今、医者の防衛策として使われる
側面が強くなっているように思います。
このなかでも書かれていますがそれは、「死に対する責任」をあちこちで回避し始めたことに
よってあらわれてきた現象のひとつなのかもしれません。つまりそれは、そもそも
「患者の自己決定権の実現」という目的であったのに、その目的がいつの間にか
「医者の免罪符、言い訳用」にすり替わってしまっているような、そこまで医者が
追い詰められている、つまりは患者やその家族が、「死」の責任を病院や医者に預けよう
(押しつけよう)としている現実。
個々の価値観を確立しにくい世の中になっているのかもしれませんが、併せて他人の
価値観を受け入れる訓練を我々は怠ってきたのではないか。多発する信じがたい凶悪犯罪や
若年層の事件なんか見ても、自分のことばかりでそこには他者の価値観を受け入れるどころか、
「他者の存在」自体が欠落しているように思います。
そして何より、万が一そんな状況になってしまった場合、自分のいちばん大切な人の延命装置を
あたしは果たして外すことが出来るのだろうか。例え本人がそれを望んでいたとしても。
甚だ、自信がありません。
「救命センター部長ファイル」 浜辺 祐一 ★★★★
恐らく52人という「ボリューム」が企画の主眼であったのか、個人個人に
ついて割かれているページ数が圧倒的に少ないです(ひとり当たり4ページ弱
なのですが、うち1ページは故人の写真や略歴に割かれているので、
実質3ページ弱)。
当たり前のことですが、死というのはこんなにも個性的なものなのか、と
改めて思います。
大往生で安らかに、というのも、現代では贅沢のひとつになってしまった
のかもしれません。
個人的には、自殺しようとした女性を助けようとして殉職した警察官がいちばん印象に
残りました。
「見事な死」 文藝春秋 ★★
サービスを受ける。
まあ、こういうサービスも選択肢のひとつとしては「あり」なのかもしれない。
でもなんだろう、この割り切れなさ。
なんかインタビューもちょっと浅い感じ。この問題は単に「セックス」だけの
問題じゃなくて、根源はもっと深いところにあると思うのだけど。
それは男性のなかに無意識に残っている「男尊女卑」思想だったり、
男女平等を叫びながら、都合の良いところでは「平等」を求め、都合が悪く
なると「女性扱い」を要求する女性側のご都合主義であったり、
特に本書の中に出てくる、
「女性は恋愛やセックスによってアイデンティティを左右されてしまう部分がかなりあって、
それは(精神的に)自立できていない証拠」
というところであると思うし、更にこの「(精神的に)自立できていない」というのは、
本当は自立なんかしたくない、甘えていたい女性心理と、
本当は自立なんかして欲しくない男性心理、みたいなものがお互いに無意識の中に
あるようにも思います。
入口は「セックスレス」かもしれないけど、その当たりまで掘り下げて欲しいなぁというのが
正直な感想。
これはなんか単なるインタビュー集でしかないような。
「セックスレスキュー」 大橋 希 ★★
短くない年月をメディアの片隅で過ごしたあたしにはとても懐かしく、
また共感できる部分が多々ありました。
しかし出版業界が舞台になってはいますが、そこに綴られていることは
出版業界の人に限らず、誰でも共感したりノスタルジーを感じられることだと
思います。
仕事も軌道に乗りだし人生の方向性もつきつつある30代、もう若いとは
言い難いけどまだ中年でもないその時期は、まわりのひとたちとの様々な
葛藤や交錯、仕事に対するそれぞれの想いなどを通して、人間として本当の
意味での大人へと成長する時期なのかもしれません。
何とも懐かしい空気感というか。
それから視線の柔らかさ、みたいなものを感じます。
時折文章が荒くなる感が無くもないですが、オススメです。
「夜空のむこう」 香納 諒一 ★★★★
若いうち(すくなくとも20代)に読んだらもっと素直に好きになったかも
しれない。
悪くはないんですけど…。
「再生」というか「再起」がテーマだと思うんですが。
読んでるうちに「何かとかぶるなぁ」と思ったらあれです、
吉本ばななですね。
「喪失」と「疑似共同体」と「再生(再起)」みたいなものが、
キレイにかぶる。
しかし吉本ばななを読んだときほどのインパクトを感じないのは
何故だろう?
あたしが歳を取ったせいだろうか?
たぶんそれもあると思うんだけど、それだけじゃないとも思う。
決して悪くないんだけど、なにかがちょっと足りない感じ。
「流れ星が消えないうちに 」 橋本 紡 ★★★
いるところだと思う。それがリアリティを支えていると思うのですが、それを
背景の一部としてちらりと使うより、「ビジネス・シーンそのもの」をベース
にして展開した方が、より著者の言いたいことが伝わるんじゃないかしら。
つまり簡単に言えば、この著者は「恋愛小説」より「ビジネス(企業)小説」
を描いた方が面白い。
そのあたりは「草にすわる」でも感じたことだし、この
「もしも、私があなただったら」は、「草にすわる」と同じテーマを扱って
いるように思うので、余計にそう感じるのかもしれません。
で、この作品ですが。いちばん気になったところだけ。
「もしも、私があなただったら」どうして欲しいだろうか、と考えることはとてもいいことなの
かも知れないけれどでもそれは同時に、ちょっと危険なのではなかろうか。
ややパラドックス気味で判りにくいんですが、
「もしも、私があなただったら、こうして欲しいんじゃないか」で終わればいいんですけど、
「私が想像するあなたの希望」=「あなたが想像する私の希望」
つまり、
「私の希望」=「あなたの希望」
みたいな図式が出てきて、そりゃあそういう図式が成立するのいちばんハッピーでありますが、
いつもいつも必ずしもそうはならないだろう現実的に、と思うのですが。
そのあたりを無視して、「私の希望」=「あなたの希望」みたいに短絡的になっちゃうと、
それは悲劇(喜劇)の始まりになってしまうんじゃないかなぁ。
「相手のためを思って」というのは確かに耳障りの良い言葉でありますが、現実には得てして
それが「一方的な押しつけ」つまりは「傲慢さ」みたいなものであったり、またそれが
「相手のためを思って/良かれとおもって」なのだからと免罪されてしかるべきである
というような、ある種の言い訳、免罪符のように使われている現実もるのじゃないかと
思うのです。
このあたり、難しいですけどね。
「もしも、私があなただったら」 白石 一文 ★★★
「よくぞ言ってくれた!」と思います。学者とかではなくて、現役の精神科医
の発言であると言うことが非常に重要です。
著者は現在の日本を「被害者帝国主義」と呼んでいますが、まったくもって
その通りだと思います。
精神的成熟度が低く、なにかあればそれは「親のせい」「学校が良くない」
「社会が悪い」と何でもかんでも他人のせい。
それでいて自分は義務を果たさず(給食費払わない親までいる時代ですからね)
権利だけを振りかざす。自分だけは常に正しい(と思いこんでおり)
ちょっとの「バッファ」も許容できない。
関わると面倒なので、学校なんかも最初からおもねってしまうから余計に増長する。
この本ではないんですが、いつか本屋で、
『自分はうつ病なんだから、もっと優しく、もっと配慮されてしかるべきだ』
などという人はまさしく【擬態うつ病】だと思うのですが、こういう人たちも新しいタイプの
うつ病として認知するべきだ! みたいな主張の本があって、かなりのけぞりました。
…そこまでおもねってどーすんだよ。
なんか日本人の美徳ってどんどん失われていくんですね。
それで何が残るんですかね。あーやだやだ。
「「心の傷」は言ったもん勝ち」 中嶋 聡 ★★★
良すぎるような気がしないでもない。
それでも悪くはないんだけどなぁ。うん、悪くはないんだよ。
だけど何というか…。
なんか大人用に書かれた童話みたいな気がして、うーんもう一声。
「僕の行く道」 新堂 冬樹 ★★★
どこまでが正常でどこからがそうではないのかなんて、線が引けるような
ものではないと思うし、そもそも正常の定義は何か、となるともう
定義しきれるものではないと思うのです。
そういう意味では「異星人」との「異文化交流」という表現はなかなか
面白いし的を得ていると思います。
実際海外と仕事をしていると、この本の場面に出てくるようなことには
よく直面します。
■言葉の裏が読めない
■雰囲気が読めない
かなり通訳レベルの高い人でも、こんなんしょっちゅうです。
だって当たり前ですよね。日本語は知識としては知っていても、彼らの文化と言えるほどには
身についてないのだから。
だいたい誰にしたって何かしらの問題を抱えているわけで実際に私だってここまで極端では
ないにしろ、ああこういう傾向は自分にもあるわな、とおもうところがないわけじゃない。
結局のところ、みんな程度の差しかないと思うのです。
「自閉症」もまだ誤解されている部分が多いようですが、判りやすく紹介している良書だと
おもいます。
ただ残念ながら、文章がちょっとあたくしには好みではありませんでした。
「僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活」 泉 流星 ★★★
とても丁寧に資料を調べ上げて書かれているように思います。
特に、姑である天璋院との仲は、幕末の動乱を切り抜けてもなお
うちとけたものではなかったであろうという説には、なかなか
説得力があると思います。
きちんと史実を追って書かれており、入門書には最適ではないかと。
「和宮お側日記」 阿井 景子 ★★
この本の解説を含めたくさんの書評があちこちに出ていますが、今回私が強く
感じたのは、取材の深さはもちろんですが、この構成の巧みさです。
取材対象によっては一度だったり、数回だったり、連日張り付きだったり、
とにかくいろんなひとにパラレルに聴いたであろう話をとてもうまく再構成
しており、ドキュメンタリーでありながらひとつのドラマを見ているかの
ような展開になっています。
それにしても。
「超一流」というのは、努力だけではダメ。才能だけでもダメ。
「超一流」になったとしても、一般的な幸せとは必ずしも(というか殆ど)
イコールではない。
そんな燃え尽きるような生き方ができる「才能」と「覚悟」の両方をもつ人は
めったにいないため、多くの人はその「特別な人」に自分の浪漫を託すのでしょうか。
この本は解説も秀逸だと思います。
「敗れざる者たち」 沢木 耕太郎 ★★★★
あまりにインパクトのあるタイトルで思わず手にとってしまいました。
夫なんて一人でたくさんなんじゃないかと想像しているあたくし
(経験がないので想像するしかないのですが)から見れば、
「もうひとり夫がほしい」なんてまあ物好きなというか、
元気だなぁというのが正直なところです。
なんども別れようとしながら結局は妻に引きずられて夫ふたりに妻ひとり
という変則家庭を続けるうちに、とうとう子供ができてしまうわけですが。
子供ができたときにこの夫ふたりと妻ひとりという変則家庭は、ある種、
妻にとって理想なのかもしれません。
この本の中では、夫のひとりはばりばり仕事をして生活の基盤を築き、もう一人の夫は休職して
育児を手伝っています。しかも妻は(子供ができるまではプロジェクトからプロジェクトを
渡り歩く専門職で夫より高給だったのに)専業主婦。
妻にとってこれ以上の天国があろうか!
しかし「猟奇的な彼女」といいこの本といい、韓国の女性って強いんですかね。
でもこれって、「妻」の理想をかなえるために一方(夫)に過度な(精神的)負担をかけて
いるようにしか思えないし、なにより子供ができてもどちらの子供か明言するどころか
DNA鑑定もあくまで泣き落としで拒否したり、どうしても好きになれません。
それ以上に、それにいいように振り回されている夫に何とも言い難い不快感。
そこまで甘やかしてどーすんだよ。
それってほんとに愛なんでしょうか? 夫のそれも、妻のそれも。
話は変わりますがこの本は、いたるところにサッカーの寓話が挿入されており、
読み進むにつれ「ストーリィ」と「サッカー」がほぼ半々くらいのボリュームになってきます。
このサッカーの寓話はサッカーに詳しくなくても楽しめ、またストーリィともうまく絡んで
いるのですが、逆に言うとストーリィだけではここまで引っ張れなかったということの
ようにも思えます。
翻訳はあの蓮池さんですが、翻訳書を読んでいるとは思えない良訳でした。
「もうひとり夫が欲しい 」 パク ヒョンウク ★★
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