bookshelf 『狂気の偽装―精神科医の臨床報告』 岩波 明 忍者ブログ
本はごはん。
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10130572.jpg  事件を起こした被告人が精神鑑定に付された場合、複数の鑑定人に
 よってそれぞれ結果(診断)が分かれるケースも少なくないように、
 やはり精神疾患というものの判断がいかに難しく、ましてやその原因の
 特定などは、限りなく不可能に近いのが現状であるのだと思います。

 一方でというか、それであるが故になのか、擬態鬱病のように精神疾患を
 言い訳のように、逃げ道に使う人も出てきているのが実態だと思うのです。
 この本では「PTSD発言」をした芸能人なんかもばっさり斬っていて、
 なかなか気持ちがいい。

 「アダルト・チルドレン」だって、親との関係に於いて何の問題もな
 かった人って存在するんでしょうか?
 しかし自分はアダルト・チルドレンであるってことに「してしまえ」ば、
 今の自分の生きにくさも不幸な境遇も郵便ポストが赤いのも全ては親の
 せいにできますからね。

 最近何かと言えば「心のケア」と言いますが、心にだって自己治癒能力があるはずで、それを
 適正に鍛えないから些細なことで「傷ついた」と大騒ぎするひとが増えてるんじゃないで
 しょうか。だから「心のケア」が必要以上に「行きすぎる」ことは、返ってマイナス
 なんじゃないかと思ってしまうんですが。

 一方で本当の精神疾患を患っている人およびその周辺のひとたちの深刻さもこの本からよく
 わかります。かなり臨床症例が豊富です。

 「片付けられない女たち」が流行った頃、「自分もADHDではないか」という女性患者が増えた
 そうですがその多くは、

 「ADHDのせいにするんじゃない! お前がずぼらなだけだーっ!!」

 と言われるんじゃないでしょうか、もちろんあたくしも含めて。

 それにしても。
 よく「精神疾患チェック表」みたいなみたいなものがありますが、そういったものの設問の
 文章って、占いの文章と似てるなぁといつも思います。
 誰でも当てはまりそうなことばかり書いてあるような気がするところが。


 「狂気の偽装―精神科医の臨床報告」 岩波 明 ★★★★
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