bookshelf 『氷点』(上・下) 三浦 綾子 忍者ブログ
本はごはん。
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01545407.jpg<br />  どうも以前取りあげた有吉佐和子とこの三浦綾子は、大衆作家と誤解されて
 いるような気がして落ち着きません。いや、大衆作家が悪いと言ってる
 わけではなくて。

 で、この「氷点」ですが。
 「原罪」がテーマになっていることは広く知られていますが、
 では「原罪」とは何ぞや。
 ああ、学生時代の「キリ概」の授業を思い出します。
 あれは特筆すべき面白さであった。

 「天国への階段」や「放蕩息子」、それから人類初の殺人事件は実は
 兄弟間殺人であったという「カインとアベル」それらと共に
 「原罪とは何ぞや」ということもやったのですが。

 実はあたくし、原罪「だけ」はちょっと納得しきれない部分があって、それでちょっとこの本に手を
 出してみましたよ。

 ちょっとメロドラマっぽい感じがありますが、テーマは重厚です。
 逆に言えば、これだけ重厚なテーマをここまで俗っぽくブレイクダウンできるのはすごい。
 「原罪」だけではなく「エロスとアガペー」なども日常生活の中で表現されています。

 しかし主人公(?)である病院長の妻(夏枝)が、致命的に幼い。
 これ、もう40年も前の作品ですが、日本人女性は相変わらずこの主人公の妻のように精神的に
 幼いように思います。ええ、自分にも思い当たるフシがあります。痛い。

 どうして日本の女性は(いや、海外の女性をよく知らないので)いつまでも自立出来ないんで
 しょうか(少し前に取りあげた橋本治なんかは、そういうことをかなり遠回しに、繰り返し繰り返し
 言ってると思うんですが)。
 経済的自立を果たしつつある今、次には精神的自立を図れるんでしょうか? 
 こういうことをいうと「だってそんな教育受けてない」と言われるんでしょうが、20歳過ぎたら
 全ては自分の責任だし、無知も立派な罪だと思うんですが
 (しかしPVが少ないって好きなこと書けて良いなぁ)。 

 で、「原罪」とは何ぞや、というところに戻ると。

 現実として人間には「罪」というものが付きまとっており、それが「原罪」のなせる技なのか
 そもそも「原罪」とは何なのか、だって神様は人間を「自分に似せて」創り「極めて良かった」と
 自画自賛していたのに、アダムはいとも簡単にそそのかされて原罪を背負ってしまったと
 いうことはやっぱり人間は神様の失敗作だったのか、そのあたりの納得しきれない感は
 解消されてはいませんが、因縁はともかく「人間」と「罪」は密接というかセットみたいなものだと
 いうのが事実なのかも知れません。

 ええ、あたくしクリスチャンではないもので。

  「塩狩峠」とはまた違った意味で(文章なんかはちょっと荒いところもありますが)、
 良書だと思います。


 「氷点(上)」「氷点(下)」」 三浦 綾子 ★★★★
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無題
I have never read this book.Bad I want to read this book in near the future.
NONAME 2010/07/29(Thu)23:52:43 編集
無題
Please let me hear the impression when you read this book.
もなか 2010/07/30(Fri)00:02:28 編集
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