bookshelf 『イヌネコにしか心を開けない人たち』 香山 リカ 忍者ブログ
本はごはん。
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02961576.jpg<br />  この著者がメディアに出始めた頃数冊読みましたが久しぶりです。
 久しぶりですが相変わらず…。
 
 まあ著者は社会学者ではないので特に新たな論説なんかは期待していなかった
 のですが、精神医学的見地から見た昨今のペットと人間の関わりかたなんかに
 対する見解とかも一切ないし、ペットを巡るニュースなどは多数引用されて
 いますが、データは殆ど提示されていません。

 (一部の)過激な動物愛護団体や、夫よりペットの方が大事になってしまった例
 なども載っていますが、それに対しても
 「こういう人たちは自分が正しいと信じ切っている」で終わり。

 江藤淳の解釈も、ちょっと違うんじゃないかなぁ…。

 そもそも新書というのは専門書のとば口みたいな位置づけで、専門分野を判りやすくかつ
 包括的に解説したものと思っていました。その昔、「哲学のすすめ 」とか
 「正常と異常のはざま―境界線上の精神病理」とか「悪について」とか「犯罪心理学入門」とか
 「アイデンティティの心理学」とか「自殺の心理学」とかとか読み漁ってた時期がありましたが、
 内容は判りやすく、しかしぎっちり詰まった良書ばかりだったけどな。

 それが「Web進化論」が当たってしまった頃からタイトルはやたら長くなるし
 級数はでかくなるし中身は薄くなるし。…まあいいや。

 で、ペットに話を戻すと、我が家にも「上のおじょうさん」という名前(あくまでWeb上での
 通り名ですよ)の女王様ねこがおり、そして私はかなりの親ばかだと自認しておりますが、
 それでも一応の線引きはあるんですよ。寝室は進入禁止(つまり寝るときは別々)とか
 人間の食べ物は与えないとかそれなりに。

 以前別の本で、ペットに人間の食べ物、それもポテトチップスとかを大量に与えていて当然
 ペットはでぶでぶ。で、「人間の食べ物は与えない方がいいのでは?」と言ったらその飼い主は、
 「なんで? かわいそうじゃない!?」と言ったそうですよ。

 「かわいそう」!
 日本語間違えてるというかなんというか。

 こういう飼い主も(一部の行きすぎた)動物愛護運動も、結局は「かわいそう」のおしつけで、
 その行為がほんとうに対象にとって良いことであるかどうかの検証は為されてないように思います。
 そして最終的に悪い結果が出ても、「でも良かれと思ってやったのだから」免責されるべき
 ことであると思っているように感じます。人間なんて所詮は自己満足を追求する生き物ですが、
 それが結局は害をもたらしたり、他者の犠牲を強要するのであれば全く迷惑です。

 ペットに限らずコミュニケーションの本質は、まず対象を「理解」し、なにが対象にとって
 良いか、喜ばれるか、求められているかなどを「想像」し(「なにもしない」という行動も含め)
 実行に移すことだと思うんですが、そういった段階を全てすっ飛ばして、「かわいそう」という
 自分の情緒的衝動だけで行動に移してしまう人が増えてきてるんですかね。

 まあ人間同士の間でも自分の情緒的衝動だけで動く人が多いですから(そういう場合は得てして
 「余計なお世話」になるケースが多い)、言葉をしゃべらない動物に対しては更に
 そうなってしまうのかも知れません。

 そりゃああたくしも下のおじょうさんが死んでしまったときはペットロス的症状に陥りましたし、
 上のおじょうさんが死んでしまったら相当落ち込むだろうと思いますが、それでも、
 良くも悪くも猫は猫で、犬は犬でしかないと思うのですが。


イヌネコにしか心を開けない人たち」 香山 リカ ★★
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