bookshelf 『永訣の朝』 川嶋 康男 忍者ブログ
本はごはん。
[116]  [115]  [114]  [113]  [112]  [111]  [110]  [109]  [108]  [107]  [106
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

03033503.jpg  終戦直後、樺太の9人の女性電話交換手が、青酸カリを服毒して
 自決してしまった事件を丹念に追っています。

 日本の敗戦が誰の目にも明らかになった8月8日にロシアが参戦。
 8月15日日本はポツダム宣言を受諾、終戦、
 にもかかわらず8月20日、日本の北方地域侵略目的でロシアは進軍。
 攻撃と掠奪の限りを尽くすロシア。
 反撃して(それは自衛のためであったようですが)やたら戦禍を拡大して
 しまう日本軍。

 女性たちには職場死守だの「決死隊」だの言いながら、緊急事態に自宅から
 徒歩数分の職場に出勤もせず、女性たちを残して逃走してしまう上層部。
 さらに戦後、その上層部が書いた手記は、自己の保身のための虚言だらけ。

 こんな状況で自決してしまった女性たちには「かわいそう」なんて言葉は生やさしすぎます。

 しかし改めて思うのは、教育の恐ろしさです。
 ヒトラーも羨んだという戦前の日本の皇国一致体制は、幼いときからの刷り込み教育が
 大きな要因のひとつだったと思いますが、

 同胞がひとりまたひとりと青酸カリを煽って次々と倒れていく中、他局との通信回線を開け
 「どうすればいいのかわかりません。指示をおねがいします」と、自分の命に対して
 指示を仰ぐ悲痛な叫びを残して自決してしまった彼女たち。

 命のありかたや生きる力を教えないで、何が教育なんでしょうか。


 「永訣の朝 」 川嶋 康男 ★★★★★
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
bar code.
search.
※ 忍者ブログ ※ [PR]
 ※
Writer 【もなか】  Powered by NinjaBlog