bookshelf 忍者ブログ
本はごはん。
[6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

41saWfCdWIL._SX230_.jpg   エッセイです。大人になっても「工作少年」。
 羨ましいと思う人も多いのではないでしょうか。

 ちょっと言い回しがくどいというか、まあエッセイですから好き勝手な
 言葉遊び的表現が少なからずあり、そのあたり好き嫌いがわかれるところ
 かもしれませんが、その合間に著者独自の価値観やものの見方などが展開
 されています。

 他の作品でも著者の「工作少年」振りは垣間見えていましたが、これを
 読むとそれが「かなりの筋金入り」であることがよく判ります。

 著者が子供の頃に通ったという「模型屋」のおじさん、おばさんの
 エピソードがもう、たまりません。

 そして同様の嗜好を持ちながらも踏みとどまっている彼にこの本を紹介するべきかどうか。
 非常に悩ましい。


工作少年の日々」 森 博嗣 ★★★
PR
4043661029.jpgg  短編集ですが、全編を通して脈々と力強いタンゴのリズムが流れています。

 たしかにこの著者にはタンゴの、暗い、抗い難い情熱とリズム、その底に
 巣くう孤独みたいなものが良く似合う。その孤独は逃げることはおろか、
 どうしても自ら絡みとられにいってしまうようなもので。

 そしてそれは決してフラメンコではなく。

 また、すこしゆがんだ愛の形とか、屈折しきれないビミョーに折りたた
 まれてしまった心理なんかを表現するとやっぱりピカイチですね。

 ひとつ、猫の短編があって、どういう巡り合わせか愛猫をなくした直後
 (翌日)に目にしてしまい、目を通し始めて「これはマズイ」と思った
 もののもう既に読むのも止められず、参りました。

 「猫にはにんげんが泣いているとき、その涙を自分のからだに吸い取って、
  悲しみを分かち合うことしかできないのだ。」(「ドブレAの悲しみ」)


サイゴン・タンゴ・カフェ」 中山 可穂 ★★★
51GberoX1ML._SL160_.jpg  なんか乱丁騒ぎがあったようですね。

 白状すると所詮はライトノベルだろうと思っていましたすいません
 面白かったですほんとすいません。

 ただ、いちばん初めの章がすごくよくて、これは! と期待して読んだ
 のですが、読み進めていくうちにやっぱりライトのベルのニオイがした
 ような気がするのはやっぱり気のせいでしょうか…。

 設定は、隕石が降ってきてそれを見た人は塩柱になってしまうというSF
 ですが、従来の生活や環境が破壊されてしまった無秩序状態のなか
 でさらけ出される人間の業とか醜さみたいなものを、

 誤魔化すでもなく美化するでもなく淡々と描かれているのはいいですね。

 でも、心理描写面と会話がビミョーに幼いような気がするのも気のせいでしょうか…。
 30歳(近く)の戦闘機乗りである秋庭の言動が特に…。

 非日常を舞台に、良くも悪くも「にんげんというもの」がうまく表現されていて
 なかなか面白かったです。


塩の街」 有川 浩 ★★★
9784167209162.jpg  最近の作品ばかりでもなく、所謂「名作」ばかりでもなく、
 アンソロジーとしてとてもバランスがとれているように思います。

 小川洋子(既読)はヨーロッパで珍道中の末愛すべき大勘違いを放ち、

 開高健は、よくぞまあここまで書けるものだと感心するほど、ワインの
 味について 1ページ以上にわたって語り続けそしてワインから当然の
 ように過去の女性を想起し、

 澁澤龍彦は日本の風潮に正しく檄を飛ばしながらヒロポンを打ちまくり
 (そして彼が嘆く「日本の風潮」は現在も正しくかつ強力に引き継がれて
  しまっている)、

 小学生の頃に読みあさった江戸川乱歩は「そうそうそう! この雰囲気!
 これよこれ!」と読書の原風景を思い出させてくれました。

 更に言うと、芥川龍之介の「魔術」、安部昭の「天使が見たもの」、向田邦子の「ダウト」など、
 どれも特に奇をてらったはなしではなくむしろ良くある話であるのに、なんとも完成度の高い
 作品になっていて、さすがとしか言いようがない。

 とくに「天使が見たもの」は、雑然とした世の中にひっそりと息づく静かな哀しみと美しさが
 独特の読後感を残す良作であると思います。


右か、左か ―心に残る物語 日本文学秀作選」 沢木 耕太郎 ★★★★
131261.jpg  はっきり言って自転車には全く興味ないのですが。

 サイクルロードレースが舞台になっていて、そのメンタリティも含め、
 このスポーツならではの特徴を活かしたミステリになっています。

 本物のエースとは、勝利は数多くのアシストたちの犠牲の上に成立
 しているものだと言うことと、その責任を自覚している者のことを
 いうのでしょう。

 しかしアシストは「役割」として犠牲になりますが、「人として」本当に
 必要な場面で自ら犠牲になれるかどうか、それはもしかしたら
 人間性そのものが問われるのかもしれません。

 全体のストーリィ展開は良くできていると思うのですが、良くできているからこそ
 勿体ないように思います。もう少し各人の心の機微などを丁寧に掬い上げてくれて
 いたら言うことないと思います。

 残念ながら、ストーリィを補足する部分、例えば幼なじみとのやり取りとか
 彼女に対する心理描写、また彼がゴールに執着を持たない部分などが、いささか雑
 な印象を受けます。

 ミステリの部分にウエイトを置いているせいなのかな。
 
 でも、どうしても序章?(プロローグ?)の表現がやっぱり引っかかる。
 そこまで覚悟して全てを背負って走ってきた人が、ああいう感覚になるとは
 ちょっと考え難いのだけれど…。

 良くできてるだけに、やっぱり勿体ない気が…。


サクリファイス」 近藤 史恵 ★★★
55002.jpg  数少ない「作家買い」対象の著者です。

 ああ、朱川湊人だなぁ、と感じられる短編集。ちょっとダークなので
 好みの別れるところかもしれませんが、「いっぺんさんや花まんま」など
 よりも、こっちが著者の本領なのではないか(と思いたい)。

 全編通して、人間が抱える「業」というもの、「愛」するが故に「業」が
 生まれるのか「業」を抱えるからこそ「愛」が存在するのか、とにかく
 その哀しい人間の性(サガ)を、鋭くはあるのだけれどどこか優しい視点で
 捉えているように思います。

 「アタシの、いちばん、ほしいもの」 が、とても良かった。
 突き放すようなラストですが、それも優しさなのではないかと思う。


赤々煉恋」 朱川 湊人 ★★★★
31856098.jpg  当時、日本で唯一の救急精神病棟(千葉)での3年間の取材を元に書かれて
 います。
 
 人間、「知らない、判らない」もの(こと)に対しては、根源的な
 恐怖を感じるものなのではないかと思います。精神病にしてもしかり。

 昨日までふつうだったのに、いきなり町中で奇声をを発したり
 ガラスをがんがん壊し始めたら、それは驚くと同時に「恐怖」に
 包まれてしまうのではないかと思うのです。

 精神病そのものおよび、その治療の実態がきちんと伝わってこない、
 実際それは「入院」という名のもと、薬漬けにして長期間隔離するだけで
 あった日本の精神医療の歴史に負うところが大きいわけですが、

 本書を初めとし、精神病のメカニズムやその治癒率の向上など、現在では解明、改善されて
 きているという情報が少なからずあるなかで、それでも単に
 「精神病患者」=「怖い」=「隔離」、あるいは、「電気ショック」=「全て悪」という
 思考に走るのだとすればそれは単なる「無知」なるが故と言われても仕方ない、そういう
 社会への転換期にあるように思います(ちなみに「電気ショック」という言い方は今は
 しないそうです)。

 同時に、この千葉の救急センターでは、確固たる理念の元、彼らの信じる医療を実践し、
 そして成果も上げていますが、一方で古色蒼然たる精神病院も少なからずあるのだろうと
 思われ、「全般的な質の底上げ」が必須であることは言うまでもないことですが。

 相変わらず綿密な取材を重ねた上で緻密に構成されており、安心して読めます。
 「精神病患者のほうが恐怖に支配されている」というのは驚きました。
 
 「文庫本のためのまえがき」に書かれているエピソードがなんとも印象的です。


救急精神病棟/a>」 野村 進 ★★★★
06276417.jpg  自薦短編集です。
 所々に著者特有の「死」とか「孤独」などが顔を出すんですが、いかんせん
 短編集だからか、ミステリのほうが強く前面に出てきますね。

 これはこの著者の全作品にわたって言えることだと思いますが、
 「あちらがわ」と「こちらがわ」がとてもシームレスで、
 それはとても甘く、危険でしかしとても心地よい酩酊にも似て、

 本能的な恐怖と同時に全てを委ねてしまいたくなるような
 優しい誘惑に満ちているように感じます。

 「キシマ先生の静かな生活」の最後から4行目。
 その意味をもう少し考えてみます。


僕は秋子に借りがある-森博嗣自選短編集-」 森 博嗣 ★★★★
10202.jpg  うーむ。
 これは書くのがすごく難しい。

 ミステリというか、サスペンスかな。
 ノスタルジィに包まれて語られる、幼い頃の姉と弟の、閉ざされた完璧かつ
 完結した世界と、そして緊迫した「今」との鮮やかな対比。

 その中で次第に明らかになる謎。

 設定は、乾くるみの「イニシエーション・ラブ」を思い出しました。
 全体の雰囲気は、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を
 想起させる感じ。

 正直なところ回想シーンが途中でちょっと退屈に感じないでもないのだけれど、
 それは罠であった。
 そして最期まで謎を引っ張ってったところはすごい。

 1点、どーしても引っかかるところが。
 うーん。
 もう一度読むか。

ソフィー」 ガイ バート ★★★★
9784334747220.jpg  女の私が言うのもどうかと思うけれど、女同士というのは結構厄介な
 もんです。はっきりいって「メンドクサイ」。

 しかし友達がいなければいないで、「これで良いのだろうか」と不安にも
 なるものらしい
 (「らしい」と表現したのは、私にはその感覚がないもので)。

 そんな女性同士の関係を描いた短編小説集。

 幼なじみ、大家と店子、バツイチの彼の子供と私、母娘などなど、様々な
 シチュエーションでの女性同士の関係が描かれています。

 正直なところ、技巧的にはちょっとどうなんだろう。
 平易で読みやすいことは読みやすいんだけど…。
 それともこれも、計算の内なんだろうか。

 ただ、独特でふんわりした雰囲気を漂わせつつ、一本ぴんと通った世界観がしっかりある。
 主人公が悪態をついている場面でさえも。
 
 悪くないんだけどな。何だろう。もう一声欲しくなってしまうのは。


しずく」 西 加奈子 ★★★
b8650f52.png  相変わらず一気に読ませてくれます。
 ただ今回は厚生労働省が舞台になっているので、ちょっと説明過多
 気味ですが。

 テーマは変わらず、先進国にあるまじき日本の死亡原因究明率の
 低さと、その現状打開および向上のための死亡時画像診断の導入及び
 拡大の必要性。

 相変わらず面白いしさくさく読めるんですが、今回の舞台である
 厚労省、現実もきっとここに描かれている通りの官僚体質、いや
 官僚根性なんだろうなと溜息混じりに読んでいたら、

 解説を書いている元国会議員が「現実の官僚は、ここに書かれているのと同じ」って
 書いてあって、なんだかなぁ。

 官僚体質はまだ比較的判りやすいんですが、同時に考えてしまうのはやはり「メディア」。
 この作品の中でもいいように世論誘導に使われてますが、現実の献金疑惑報道なんかを見ても
 これもやはり小説の中の話だけではないように思います。

 恐らく個人個人は悪い人じゃないんでしょうけども、どうしてこうなっちゃうんでしょうかね。
 ひとは組織化するとダメになってしまうのでしょうか?

 このイノセント・ゲリラ、もちろん後を引く終わり方になってますし、まだ水面下で
 ぐにょぐにょ動いてる某省の動きも見て取れるので続き物だと思った方がいいみたいですね。
 ええ、ここまで読んだらもうちゃんとついていくつもりです。


イノセント・ゲリラの祝祭(上)」「イノセント・ゲリラの祝祭 (下)」 海堂 尊 ★★★
9784167743024.jpg  やはり一筋縄ではいかない作家ですね。

 テーマは「孤独」でしょう。
 ただ、孤独にも「種類」があるということでしょうか。

 自分の存在をある程度社会的に確立できている、つまりそれは
 「夫」「妻」「部長」「父親」などの社会的肩書きを持つということでしか
 ないケースも多く、

 同時にそれはいくつもの仮面を手にしてしまったということと同義でもあり、
 そういう立場の人が感じる孤独。そういう人が呑み込まれてしまう孤独。
 ふたりはそういう孤独に、ある種嬉々として飲み込まれていくわけですが、

 一方で、本能的に危機感を感じそこから回避しようとする3人目の男性。
 しかし彼がそこを回避して帰っていく先はやはり「彼の孤独」なわけであります。

 ここまで「甘い孤独」を描ける作家もめずらしい。
 もしかすると孤独というのは、究極まで突き詰めると「自己完結」なのかもしれない。
 なんてことを考えた。


少し変わった子あります」森 博嗣 ★★★★
04389702.jpg  ちょっと荒っぽいけど、思っていたよりも面白かったです。

 元プロ野球選手が事情を抱えて便利屋をやる、という筋ですが、
 ミステリーになるのかな。

 元プロ野球選手が便利屋、という設定からも判るように、そこにはそれなりの
 事情と心の傷とがあるわけですが、タイトルにもある「孤独」、この描き方が
 もう一声かな。悪くないんですけどね、もうちょっと美しく伏線を張って
 いただきたかった。

 それから全体のストーリィ展開(ミステリにあたる部分?)が、ちょっと
 唐突かつ乱暴に感じるところもあるかなぁ。とくに最期の方。

 更に言うと、いろんな要素が詰め込まれているのはいいんですが、未消化の
 ままのものもあるような。続編を構想しているのならそれはそれですが。

 終わりまでぐいぐいと引っ張って読ませる力(構成と筆力)はあると思うので、あとは
 心理面及びストーリィ面でもう少し繊細に展開していただくと言うことないかな、
 と思います。


145gの孤独」 伊岡 瞬 ★★★
32321676.jpg  三度にわたる脳出血により、高次脳機能障害となってしまった女性医師による
 体験記というのでしょうか。

 医師であった、ということもあってか自分の症状を客観的に整理して、
 受け入れようとする前向きな姿勢が実に明るく描かれていますが、

 いままで当たり前に出来ていたことができない、例えば、洋服をどうやって
 着たらいいのか判らない、トイレから出られない(出口が判らない)、靴も
 どうやって履けば良いか判らない、

 そんな事態に陥ったら、本人はもちろん、家族が受ける衝撃はいかばかりか。
 しかも、

 『高次脳機能障害では、子供でもできるようなことが簡単なことが出来なくなったり、
  思ったことがうまく表現できなくなるケースがよくある。だからといって、
  知能や精神まで子供に戻るわけではない』
  
 つまり「何も出来なくなってしまった自分」を、正しく認識している自分がいるわけです。
 これは相当辛いことじゃなかろうか。

 著者は医者であったということ、また身内にも医者が多く、身内の医療機関で職場復帰する
 ことことができたことなど、比較的恵まれている環境なのかもしれませんが、著者も明言
 しているとおり「社会復帰」がいちばんのリハビリのようですね。

 やはり外部から受ける刺激がいかに重要かということなのでしょう。
 そして少なからぬダメージを受けた脳であっても、工夫や努力によって、残った脳が
 失った部分をここまでカバーするものなのかと、その深遠な世界に驚きます。

 それにしても、夫の存在感が希薄というか、まったく存在感が感じられなかったのが残念です。
 

壊れた脳 生存する知」 山田 規畝子 ★★★★★
NEOBK-681418.jpg  「自死」を肯定し、自ら「自死」することによってその論と人生を完成させた
 哲学者の著です。

 老年期を迎えると、今までのような生活(の質)が保てなくなる。また昨今の
 医療技術の進展により、(延命治療など)苦しい思いだけしてなかなか死ね
 ない。老衰で自然に眠るように死ぬなんてことは宝くじに当たるより確率が
 低い。だから、ある程度人生に満足したら、元気なうちに自分で死ぬ方が良い。

 ーというのが著者の主張であります。
 なるほど。確かにそう言う考え方もあるかもしれません。

 痛みや恐怖、家族や友人に対する配慮はどう乗り切るのかと言えば、
 「体が死を納得」できれば、たいした問題ではないそうです。つまり
 「何かに夢中になっているときには他のことは気にならない」のと一緒だそうで。

 しかし「死ぬことを体で納得する」というところが、いまひとつ実感として判らない。
 それは私が今のところ、「頭」でも「体」でも死ぬつもりがないからなのかもしれませんが。

 確かに、こういう考え方もあるかと思います。しかし全てに共感はしにくいなぁ。
 延命治療は望みませんが、ペインコントロールしながらモルヒネで眠らせてくれればそれで
 良いと思うのですが。

 それに。「死に夢中になっているから、残される家族に対して多少の罪悪感は持つものの
 それはたいした問題ではない(要約)」のだとしたら、やっぱりそれは自分本位の考え方
 なのではないかと、どうしてもそう思ってしまうのです。

 こういう生き方(死に方)もあるとは思います。しかし自分の大切な人がこのような
 死に方を選んだとしたら、私は自分の存在について相当懐疑的になるのではないかと。

 更に、ものすごく乱暴に言うと、
 「この先大変そうだから、今終わりにして『人生のいいとこ取り』をしよう」
 みたいな考え方には、ちょっと馴染めない。

 自死を全て否定するワケではないし、『かけがえのない命』なんて綺麗事を言うつもりも
 ありませんが、それでも、笑ったり泣いたり、喜んだり怒ったり落ち込んだりしながらも
 なんとか折り合いをつけていくもんじゃないのかなぁ。生きるってことは。

 人間だけが自殺する。
 それは人間だけが手にすることが出来た叡智か、
 それともこの上ない傲慢さか。 

 「死」というものが日常から切り離されて、概念で弄ぶだけになってしまった現代、
 きちんと「死」というものについて考える契機となるとは思います。
 なにしろ「死ぬのも大変」な世の中ですから。

 蛇足になりますがこの本、冒頭に「解説」が付されています。

 この本に限って、ですが冒頭に解説をつけたことにより、それが、「哲学者」による「自死論」、
 つまりは決して軽くも簡単でもないテーマへのイントロダクションの役割をうまく果たしている
 と思います。

 しかしそれはあくまで本書に限ったことであって、このスタイル(構成)が一般的に
 なるようなことには、絶対になって欲しくはありません。

 解説から読み始める人が少なくないらしい、ということに出版社が気がついて以来、
 解説は単なる「ストーリィ紹介」に堕ちてしまったように思います。

 本来解説とは、自分が気がつかなかった視点やら解釈やらを気付かせてくれるもの
 であって(従ってこのブログでもストーリィ紹介は極力排しています)、

 「読み終わったあとに読んで初めて意味のあるもの」

 だと、私は思っているので。


自死という生き方」 須原 一秀 ★★★★
bar code.
search.
※ 忍者ブログ ※ [PR]
 ※
Writer 【もなか】  Powered by NinjaBlog